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まなみ先生には幸せになって欲しかったのに

【親子ほど年が離れている義之さんに、何があっても守るから、そう言われてまなみ先生ね、年甲斐もなくときめいちゃったの。ダメ元で義之さんに告白したらしたら、結婚しよう。ちゃんとお互い罪を償って、出所したら、誰も知らないところでふたりだけで暮らそうってプロポーズされちゃった。四季くんはもちろん反対だよね?保にも反対されちゃうかな?】 お爺ちゃん家の固定電話の留守番電話サービスにまなみ先生から僕あての最後のメッセージが残されていたってお婆ちゃんからの電話で知った。 スマホ、そんなに持ち歩かないけど、まなみ先生にも電話番号を伝えておけば良かった。後悔しても後の祭りだった。 「兄さん好きな人がいるならいるってなんで早く言ってくれないのかな。年なんて関係ないのに」 初瀬川さんがずずっと鼻を啜った。 「俺たちに反対されるとでも思ったんだろう」 「反対なんかしないのに」 生きてさえいてくれればそれでいいのに。 初瀬川さんが目元をハンカチでそっと拭った。 「和真、四季、どこのレタンルボックスか分かったぞ」 コオお兄ちゃんが息を切らし戻ってきた。

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