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悲しい再会

「段ボールはあとで取りに来よう。スーツだけ持って帰ろう」 「うん」 段ボールの中を一通り確認し、他にも何かないか確認をしていた阿部さんが何かに気付いた。 「あれ?」 「どうしました?」 「ベニヤ板で仕切られているんだ。てっきり半畳ほどの広さだと思っていたけど、奥に何かがある」 「照明をつけますか?」 「頼むよ」 段ボールを端に寄せ、彼とふたりで慎重にベニヤ板を外すと、白い布が被せられた何かが置いてあった。 白い布を取り外すと、そこにあったのはプラスチックの衣装ケースだった。 早速蓋を開け、中を確認していたふたりの動きがピタリと止まった。 「和真さん、阿部さん」 何か嫌な予感がした。 彼がスマホを耳にあてながら戻ってきた。 「至急来て下さい。お願いします。場所ですか?バイバス近くのスペースボックスです」 「和真さんどうしたの?」 電話を終えた彼に声を掛けた。 「布に包まれた小さな骨壺がふたつある。他にも何かあるから警察を呼んだ」 「もしかして亡くなったきよちゃんの赤ちゃん?」 「恐らくな」 和真さんも阿部さんも険しい表情を浮かべていた。 10分とかからず警察が駆け付けてくれた。 「このご時世だ。納骨せず自宅に置き供養している人も多い。それ自体は違法ではない」 彼と阿部さんが事情を説明している間、衣装ケースごと外に運び出された。

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