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こはるちゃん

「親族なら引き取って面倒をみれるんだけどね。赤の他人だしね……あ、そうだ。和真くん、一宮さんに事情を話して相談をしてみたらどうかな?」 彼がお爺ちゃんとお婆ちゃんに電話で事情を話すとすぐに駆け付けてくれた。 「だぁ~~れ?」 「和真おじさんのじぃじとばぁばよ。はじめまして。えっと……」 「あたし、こはるちゃん」 「そうだった。こはるちゃんだったわね」 刑事として弱いものの味方だったお爺ちゃんと、看護師として長年子どもたちに接してきたお婆ちゃん。こはるちゃんに向ける眼差しは慈悲深く、とても優しかった。 中村さんと話し合い、お爺ちゃんとお婆ちゃんがこはるちゃんのお母さんの夕貴《ゆき》さんが退院してくるまでこはるちゃんの面倒をみるということで折り合いがついた。 「命だけは助かって良かった。赤ちゃんも無事で良かった」 胎児を救うためやむを得ず帝王切開で赤ちゃんを取り上げた。超未熟児で生まれた赤ちゃんは保育器のなかで懸命に生きようとしている。夕貴さんはいまだ意識が戻らないみたいで、医師たちによる懸命の治療が続けられている。 「小姑がいつまでも副島と同居していたのでは、昴も面白くない。だから、お爺ちゃんとお婆ちゃんのところに戻った方がいいかと思って」 「儂たちは大歓迎だ」 「ふたりだと寂しくてね、こはるちゃんもいることだし、また賑やかになるわね」 「ふたりにはまだ言ってなかったんだけど、オークポリマーを退職して、須釜製作所に再就職することになったんだ。生活は苦しくなると思う。なるべくふたりには迷惑を掛けないようにするから、だから、その……」 「和真と四季くんがいれば私たちは十分幸せよ。だって今どき、一緒に暮らしてくれるお嫁さんってすごく貴重なのよ」 「儂も同意見だ」 「ふたりともありがとう」 「お爺ちゃん、お婆ちゃん、ありがとう」 彼と一緒に頭を下げた。

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