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家族という名の赤の他人
「こはるちゃん。しーちゃんといっしょがいい」
「分かったよ。四季くんも連れていく。それでいいか?」
「うん」
こはるちゃんがニコニコの笑顔になった。
「こはるちゃん、あっちっちになるから、椅子に座ってていいよ」
「はぁ~い」
「きみが火傷をしたらもともこうもない。俺が運ぶ」
彼が飛んできてくれた。
「ありがとう和真さん」
「こんなのお安いご用だ。片付けは後でいいよ。俺も手伝うから一緒にご飯を食べよう」
「うん」頷くと、彼も嬉しそうに微笑んでくれた。
こはるちゃんのお風呂担当はお婆ちゃん。
寝かし付け担当は僕と彼。
遊び担当はお爺ちゃん。
お世話はみんなでやる。そう決めた。
彼に手伝ってもらい後片付けをしていたら、
「夕貴さんの所持品と茶封筒を病院から預かってきたよ。祖父母もあの通りだ。もしかしたら入院費用は俺が肩代わりすることになるかも知れない。ごめんな四季。いろいろ巻き込んでしまって」
「ううん」
いちいち謝らなくてもいいのに。
のちのちのトラブルを避けるため斎藤さんに立ち合ってもらい所持品を確認した彼。
携帯と身分を証明するものは、どこを探してもなぜか見付からなかった。入っていたのは、こはるちゃん名義の通帳と印鑑。もし自分に万が一のことがあった場合、出産費用にあてて欲しい。そう書かれた手紙が入っていたみたいだった。
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