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つかの間の穏やかな日々
「ママ、バイバイ。またくるね」
「心春ちゃん偉いな。ちゃんとママにバイバイが出来たな」
「うん!」
褒める時はうんと褒める。悪いことをしたらガミガミと頭ごなしに怒るんじゃなく、なんで駄目なのかを教えてやる。
こはるちゃんは、お爺ちゃんとお婆ちゃんが大好きだ。
ママからじぃじとばぁばがいること。いまは会えないけど、いつかきっと会えるから。そう聞かされていたみたいで、ママのじぃじとばぁばだと思いこんでいる。
儂らが本当のじぃじとばぁばになれればいいんだが。嘘を付いている訳じゃないんだが、いつか真実を告げなければならない。それがしんどい。辛い胸の内を漏らしていた。
廊下に出ると看護師さんたちが慌ただしく動き回っていた。こはるちゃんとはぐれないようにお爺ちゃんとお婆ちゃんが小さな手をしっかりと握り締めた。僕も邪魔にならないように端に寄り、前を歩く三人をひかないよう、一定の距離をおいてゆっくりとハンドリムをこいだ。
ナースステーションで駐車券にはんこを押してもらい、エレベーターが来るのを待っていたら、誰かに声を掛けられたような気がして、どきっとして辺りをキョロキョロと見回した。
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