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こはるちゃん、しーちゃんがいい

「初瀬川さん折り入って頼みがあるんですが……」 翌日のお昼過ぎに初瀬川さんに電話を掛けてみた。 ーどうしたの四季くん。そんなに改まっちゃってー 「きよちゃんが使っていたパソコンを借りることって出来ますか?やっぱり無理ですよね」 ー1ヶ月前だったかな?警察が会社にいきなり来て橋本さんのディスクやロッカーにあった物を全部押収していったのよ。散らかし放題よ。片付けくらいして欲しかったわ。でね、橋本さんが使っていたパソコンのなかに発注書とか成形材の注文書が保存されてあって確認しようとしたらうんともすんともいわないの。だから修理に出してて、それで警察の押収を免れたの。修理から戻ってきて武田課長が預かってくれているはずよ。私の方から頼んであげるよー 「ありがとうございます」 ー私と四季くんの仲でしょう。気にしないでー 初瀬川さんのお兄さんの意識は依然として戻らない。事故の日からずっと眠ったままだ。 「初瀬川さん、余計なお節介かも知れませんが、無理はしないでください。休めるときにちゃんと体を休ませてあげてください」 ーありがとう。それよりも四季くん、ご主人大丈夫なの?私の心配をしている場合じゃないんじゃないの?ー 「え?何がですか?」 ーもう惚けちゃって。岩水と同じ会社に再就職したんでしょう。恋のライバル同士、バチバチ火花を散らしていないかって、余計なお世話なんだけどねー 初瀬川さんに言われ、彼とたもくんが口喧嘩している光景が目に浮かんできた。

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