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絶望の先にあるものは

コオお兄ちゃんが外に出たとたん大粒の雨がばたばたと落ちてきた。風まじりの、強い雨だ。 「まるで帰るなって言ってるようだな」 「そうだな」 漆黒の空を見上げ、はぁ~とため息をついた。 「当分止みそうもない。このまま泊まっていったらどうだ?」 「いいのか?」 コオお兄ちゃんの目がきらきらと輝き出した。 「現金なヤツだ」 「俺、気付いてしまったんだ」 「何をだ?」 「四季が隣にいないと熟睡することが出来ないってことだ。お陰で毎日睡眠不足だ」 「は?」 彼の目が一瞬点になった。 「お前には昴がいるだろう」 「昴とは友達以上まだ恋人じゃない。でも四季は永遠の恋人だ」 「真面目な顔で何を言い出すかと思ったら……あのな副島……」 やれやれとため息をつきながら彼が額に手をおいた。 「一宮さんにもう一組布団を出してもらおう。いや、その必要はないか。なにも四季と同じ布団で寝ればいいんだ」 コオお兄ちゃんが鼻唄を口ずさみながら上機嫌で車椅子を押してくれた。

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