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キヨちゃん一途の彼

「四季の気を引くための猿芝居だ。くれぐれも騙されるなよ」 ヤスさんの顔をそっと見上げると険しい表情を浮かべていた。 「ヤス兄貴」 ひとりまたひとりと、僕たちの回りにヤスさんの弟分の若い人たちが集まってきた。 「なにやってんだ」 「すみません」 頭ごなしにがみがみと怒鳴り付けるのではなく、なぜそれが駄目なのか、教えるように若い人たちに注意をするヤスさん。 一挙一動。みな、羨望の眼差しを向けていた。 「ヤスさんってやっぱりすごい人なんですね。部下の方からの人望も厚くて、みんなに兄貴って呼ばれて、僕なんか何の取り柄もないです」 「四季のいいところは足が不自由でもそれを決して卑下せずいつも明るく振る舞っていることと、他人を気遣う思いやりの真心があることだ。あんま、褒めると旦那に焼きもちを妬かれるから、まぁ、この辺で勘弁してくれ。それと俺なんかただの下っ端だ。オヤジとカシラとは比べ物にならないよ。雲泥の差だ。ふたりとも男の中の男、そこら辺にいるチンピラとは違う本物のやくざだ」 熱弁を振るうヤスさん。 いつか彼と一緒に、オヤジと呼ばれている組長さんと、カシラと呼ばれている若頭に会いたいな。ヤスさんを貸してもらったり、結お姉さんがお世話になっているんだもの。ちゃんとお礼が言いたい。 それに姐さんと呼ばれている男性?女性?の方にもし会わせてもらえるなら会いたいな。同じ両性同士仲良くしたい。

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