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新しい出会い

「今まで週一回だけだったでしょう。二日おきに来てくれるようになったら助かるわ」 「息子の嫁に買い物を頼むのも気を遣うのよ。だから本当に助かるわ」 いつの間にかヤスさんは近所のおばちゃんたちのアイドルになっていた。礼儀正しく、店長の仕事を一生懸命やってることや、然り気無い気遣いと爽やかな笑顔でおばちゃんたちを虜にしていた。 移動スーパーの店長は仮の姿。本当はやくざだということを知ったらどんなみんな反応をするんだろう。 彼に車椅子を押してもらいいつものように買い物に行ったら、 「あの、これは?」 「うちの子守り担当からだ。歯医者でギャン泣きの大暴れして来たって聞いて、歯医者は怖くねぇぞって教える絵本らしい。よく分かんねぇが、もらっておけ」 ズッシリと重い紙袋を膝の上にぽんと置かれた。 「なんだかよく分からないけど、ありがとうございます」 ぺこっと頭を下げた。 「おぅ」 ヤスさんと話しをしていたらおばちゃんたちにめちゃめちゃ睨まれた。 「四季、さっさと買い物を済ませて撤収したほうが良さそうだ」 これには彼も苦笑いするしかなかった。

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