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新しい出会い
「あの……そろそろ下ろしてもらってもいいですか?」
怒ったような表情を浮かべる男性。蚊の泣くような声で恐る恐る声を掛けた。
「顔が怖いのはもともとだ。諦めてもらうしかない。まぁ、そのうち馴れる」
ニヤリと笑われた。
「おぃ、真山。いつまでもこそこそ隠れているんじゃねぇぞ」
男性が声を荒げると、街路樹の陰から真山さんが姿を現したものだから腰を抜かすくらい驚いた。
「四季にずいぶんと横柄な態度を取っているみたいだが」
「孤児のソイツに身内がいる訳がない」
「親父が昔囲っていた女の姪だって断言している。嘘だと思うなら親父に聞け」
男性が車椅子の上にそっと座らせてくれた。
「そういえば、女子高校生に美人局をやらせているって風の便りで耳にしたんだが。渋川に無断でバイトに精を出していると粛清されるぞ」
ふん、真山さんが鼻で笑った。
「ヤスは四季の弾よけだ。ヤスの場合、バイトじゃなく人助けだ。お前みたいな悪党と一緒にしてもらったら困る」
お互い一歩も譲らず。
しばらく睨み合ったのち真山さんは路肩に急停車した車に乗り込んでいった。
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