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決着のとき
「あと、5分で1時間か」
卯月さんが腕時計にチラッと目をやった。
その直後、黒塗りの高級車が少し離れたところに停まり、鋭い目付きをした数人の男たちが歩いてきた。
そのうちのひとり、長身で苦み走った男らしい容貌の男が卯月さんの姿を見付けるなり、早足で近付いてきた。
猛禽類のような鋭い眼差しと、鍛えられた長身がまとう威圧感。まなざし以上に、男がまとう雰囲気は鋭利で隙がない。
「四季、俺たちの側から絶対に離れるなよ」
彼とコオお兄ちゃんが警戒心を露にし身構えた。
饒舌だったキヨちゃんも急に黙り込み、そわそわしはじめた。
「兄貴、久し振り」
男が卯月さんに笑顔で挨拶をした。ふたりは顔見知りのようだった。
「兄貴会いたかった」
男性は人目も気にせず卯月さんに抱き付いた。
「暑苦しいぞ」
「相変わらず冷たいな。俺と兄貴の仲だろう」
「四季、コイツが渋川だ。真山の兄貴で、宇賀神組の若頭補佐だ」
「兄貴、不倫はダメだろう」
男性と何気に目が合った。
「あのな渋川……隣にいるのが旦那だ」
「隣といわれても三人いるぞ。縣みたく一妻多夫がいまの流行りか?」
「流行りの訳ないだろう」
「そうか、俺が渋川だ」
男性に挨拶され、彼がすっと前に出た。
「四季の夫の朝宮和真です」
「ヘェ~~いい面構えしたなかなかいい男じゃないか」
男性が彼の体を舐めるようにじろじろと見回していた。
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