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決着のとき
「橋本さん、四季はあなたのことをずっと心配していたんですよ。何度も殺されそうになり、その度に怖い想いをしたのに、それでも四季は姉のように慕っていたあなたのことをどうしても恨むことは出来なかった」
「だからなんなのよ。どうせ私のことをばかにしてるんでしょう。ざまぁーみろって思っているんでしょう」
「橋本さん」
彼が語気を強めた。
「言うだけ無理だ」
卯月さんが首を横にふった。
「あ、そうだ。うちの顧問弁護士は子どもには優しいが、子どもを蔑ろにする親には容赦ない。鬼より怖いぞ。よ~~く覚えておけ」
手錠を嵌められたままキヨちゃんは渋川さんの部下たちに両脇を抱えられ有無言わさず連れていかれた。
「息子の聡太だ。可愛いだろう」
真山さんがキヨちゃんが生んだ赤ちゃんを見せてくれた。
卯月さんの奥さんにも聡太くんくらいの赤ちゃんがいるみたいで、哺乳瓶を受け付けない聡太くんに授乳してくれたみたいで、お腹いっぱいになりすやすやとねんねしていた。
卯月さんの姐さんに借りが出来てしまった。
そう言いながら、腕のなかにそっと抱かせてくれた。
「ミルクの匂いがする。頬っぺがぷにゅぷにゅで柔らかくて……可愛い。目はママ似かな?」
「施設では小さいガキの面倒をみるのは当たり前。面倒くさくて、かったるくて、やりたくなくて、あんとき、まなみ先生の言うことを聞いてやってればこんなにも苦労しなくても良かったのかも」
「誰がなんと言おうが聡太くんは真山さんとキヨちゃんの子です。どうかキヨちゃんを幸せにしてください。宜しくお願いします」
「きみは不思議な子だ。つくづく思うよ」
真山さんがくすっと苦笑いした。
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