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第一章 眠れない夜
放課後のざわめく廊下、遠野 紫苑(とおの しおん)は友人の小林(こばやし)と立ち止まって話をしていた。
「小林、お前クリスマスに告るってマジかよ」
「何かさ、素敵なプレゼントと一緒に告白すれば上手くいくんじゃないかな、って」
そんな二人の間に、突然飛び込んできた少年が。
「お~っと! 二人で何をコソコソ話してるのかな!?」
「な、何だよ。桜庭(さくらば)かよ」
「びっくりしたぁ」
へへへ、と桜庭 波留(さくらば はる)はいたずらっぽく目をくるくるさせて笑った。
「もしかして、北陽高校のアイドル・波留くんの噂でもしてた?」
ぎゅう、と腕を組まれて、紫苑は苦笑いした。
「はいはい。アイドルは忙しいんだろ? こんなところで油売ってていいのかよ」
「それもそうだ。それじゃ、また明日ね~!」
ぱっと離れて、波留は行ってしまった。
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