2 / 69
第一章・2
「忙しいって、アレだろ。最近、校門近くに待ってる車のことだろ」
小林の、ひそめた声は続く。
「大学生と付き合ってる、って噂、本当かなぁ」
「さあな。ただの兄弟かもしれないじゃん」
さりげなく、紫苑は波留を擁護した。
「それより小林、プレゼントは何にするんだよ」
「ああ、それそれ!」
小林はプレゼントの話を一生懸命しているが、紫苑は気もそぞろでその声を聞いていた。
波留は、大学生と付き合っている。
それは、事実だ。
しかも、紫苑の兄・遠野 来夢(とおの らいむ)だ。
誰にも言えない、紫苑だけの秘密だった。
ともだちにシェアしよう!