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第五章・7
「さて、紫苑はこれからどうするのかな? 相変わらず、波留くんを陰ながら見守るの? それとも……」
「もういいから、寝ようぜ」
吐き捨てるような紫苑の返事に、由樹は小さく首をすくめた。
「僕は、紫苑のことが好きだよ。それだけは解ってね」
返事を求めるでもなく、由樹はそれきり瞼を閉じた。
ほどなくして、すうすうと規則的な寝息が聞こえて来たが、紫苑は寝付けなかった。
『さて、紫苑はこれからどうするのかな? 相変わらず、波留くんを陰ながら見守るの? それとも……』
由樹の言葉が頭にこびりついて、離れない。
「波留の運命の番は、来夢なんだぞ。俺じゃないんだから」
俺は波留が好きだ。
でも、波留と結ばれることは許されない。
「だって、俺はβなんだから」
自分で自分に足枷をかけて、紫苑は眠れない夜の時をのろのろと歩いた。
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