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第1話
「どっぽ、昨日の昼に弟クンが訪ねてきたよ」
朝食を食べているときに、一二三からこんな話題がでた。
「やっぱさ、どっぽちんは年末年始は実家に帰ったほうが良くない?」
一二三は俺なんかよりも、今店が忙しいだろう、そっちに俺は気を使ってやりたいのに、俺は気の利いたことは言えなかった。
「……どうせ帰っても、俺は休まらないの知ってて言ってるだろう」
「なんでなんで?」
「仕事終わって実家に帰っても、親や弟の顔色覗って過ごすなんて疲れるだけだ」
俺がそう言うと一二三はにっこりと笑ってこう言った。
「それってオレっちといると気が休まるってことだよね?うーれしぃ」
けどクリスマスから年末に掛けて忙しいのは、俺よりも一二三だろう。
「一二三が実家に帰ってほしいって言うなら、帰るが……」
「あー、オレっちの仕事のこと考えてくれてんの?それはモーマンタイだよ。オレっちの趣味はどっぽちんの育成だもん」
育成……、俺は何かのゲームキャラクターか?
「一二三、今日は夕飯はいらないから」
「接待?」
「いや、忘年会だ」
まぁ結局俺にしてみたら、どこに行っても接待のようにヨイショするだけだが。
「ハメ外さないようにね」
「……どういう意味だ?」
「記憶無くすまで飲んだり、襲われないようにって意味」
「俺は飲み潰れても、前後の記憶はあるタイプなのは知ってるだろう」
「うん。でもさ、どっぽは酔い潰れると色っぽくなるっしょ。オレっち心配」
「ブッ……ゴホゴホッ!!」
俺は味噌汁で咽た。
誰がそんなになるって?!
「どっぽ、ダイジョーブ?」
「お前が変なこと言うからだっ!!」
俺は茶を一気に飲んで朝食を終わりにした。
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