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第三章・12

 よかった、と思った。  多分あの時犯していても、これほどの悦びは得られなかっただろう。  かわいい怜也。  小さい頃から、ずっとずっと後を追ってきていた怜也が、今は妖艶な姿で俺を魅了する。  ぶるり、と体に震えが走り、凱は怜也の内に思いきり吐き出した。 「ああぁあ!」  怜也の体が、大きく跳ね上がった。  腰をしっかり抱いて引き寄せ、最後の一滴まで内に注ぎ込んだ。 (やべぇ。スキン、付けるかどうか訊くの忘れてた)  だが、時すでに遅し。  凱の種は、怜也にたっぷり渡されてしまった。  女ではないので、妊娠の心配がないことだけが気休めだ。  結構大量に出たようだが、怜也は大丈夫だろうか。 「あぁ……」  小さな声を漏らし、喘いで細かく震える怜也の体を抱きしめた。  二人つながったまま、余韻に浸った。  荒い呼吸が交じり合い、部屋中に熱がもたらされる。 「最高。すっげぇ、悦かった」  ありがとう、怜也、ともう一度キスをした。  何度でも何度でも、キスをした。

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