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第三章・13
これで満足か、と自分に問いかけてみた。
隣には、すやすやと眠る怜也。
やっと抱けた。
ひとつになった。
欲しかったものを、手に入れた。
我慢に我慢を重ねて、努力に努力を積んで、ようやくものにした。
(我慢とか努力とか、柄じゃねぇと思ってたけど)
まんざらでもなかった。
結構、いや、かなり楽しかった。
眠っている怜也の瞼に、そっと口づける。
長い睫が震え、うっすらと瞳が開かれた。
「ん……」
「あ、ごめん。起こしたか?」
ううん、と首を振って、怜也は顔を摺り寄せてきた。
ねだられるまま、キスをする。
舌を絡ませ合い、濡れた音に浸っているうちに、再び体がむずむずと火照ってきた。
だがしかし。
(もう一回、なんて言ったら退かれるかな?)
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