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 *** 「ありがとう。これ、少ないけどお礼だから」  少し厚めの封筒を出して佐倉の方へと差し出せば、唇の端を器用に上げ、「毎度」と返事をしながらそれを受け取る。 「あとは俺がやるから、もう帰っていいよ」  笑みを浮かべてそう伝えると、身支度を整えながら佐倉が声をかけてきた。 「ソイツの事、本当に好きなのか?」  彼が疑問を持つのは至極当たり前の事だろう。 「さあ、どうかな?」  だけと、正直には答えない。それは彼等が知る必要など無い部類の話だから。 「また、必要なら声掛けるよ」  意識を無くした恋人の髪を指で梳きながらそう告げると、肩をすくめた佐倉はそれ以上何も言わず、二人を連れて出て行った。 「鈴……」  目隠しを取り、涙の跡が色濃く残る頬を撫でながら、悠陽は戒められたままの彼のペニスへと指を伸ばす。  萎えてしまったそこから器用に紐の結び目を解いてやると、細い身体がヒクリと震え、尿道口から精液がタラタラと流れ出た。 「好きだよ」  愛しげに、キスを額へと一つ落とし、悠陽は鈴斗へ囁きかける。  媚薬を使ったせいとはいえ、今日の鈴斗の乱れようはかなり嬉しい誤算だった。 「気付いたら、鈴も俺を嫌うかい?」  目尻に舌を這わせながら、独白のように問いかける。  歪んだ欲望を満たす為に孤立させ、自分だけを見つめるように様々な罠を張り巡らせた。 「ごめんな。でも、もう、離してやれない」  秀麗な顔に笑みを湛え、悠陽は猛ったペニスを取り出し、濡れそぼった鈴斗のアナルに先をピトリと添え当てて……。 「鈴………してる」  さっき見たばかりの痴態を頭の中で反芻し、低く愛を囁きながら、意識の無い彼の身体を欲情の赴くまま、深く深く貫いた。 end Candaulism【寝取らせ愛好】  こちらの作品は【寝取らせ愛好】をテーマに、数年前執筆したものです。  最後まで読んでくださりありがとうございました。 小此木雪花

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