6 / 6
陸
***
「ありがとう。これ、少ないけどお礼だから」
少し厚めの封筒を出して佐倉の方へと差し出せば、唇の端を器用に上げ、「毎度」と返事をしながらそれを受け取る。
「あとは俺がやるから、もう帰っていいよ」
笑みを浮かべてそう伝えると、身支度を整えながら佐倉が声をかけてきた。
「ソイツの事、本当に好きなのか?」
彼が疑問を持つのは至極当たり前の事だろう。
「さあ、どうかな?」
だけと、正直には答えない。それは彼等が知る必要など無い部類の話だから。
「また、必要なら声掛けるよ」
意識を無くした恋人の髪を指で梳きながらそう告げると、肩をすくめた佐倉はそれ以上何も言わず、二人を連れて出て行った。
「鈴……」
目隠しを取り、涙の跡が色濃く残る頬を撫でながら、悠陽は戒められたままの彼のペニスへと指を伸ばす。
萎えてしまったそこから器用に紐の結び目を解いてやると、細い身体がヒクリと震え、尿道口から精液がタラタラと流れ出た。
「好きだよ」
愛しげに、キスを額へと一つ落とし、悠陽は鈴斗へ囁きかける。
媚薬を使ったせいとはいえ、今日の鈴斗の乱れようはかなり嬉しい誤算だった。
「気付いたら、鈴も俺を嫌うかい?」
目尻に舌を這わせながら、独白のように問いかける。
歪んだ欲望を満たす為に孤立させ、自分だけを見つめるように様々な罠を張り巡らせた。
「ごめんな。でも、もう、離してやれない」
秀麗な顔に笑みを湛え、悠陽は猛ったペニスを取り出し、濡れそぼった鈴斗のアナルに先をピトリと添え当てて……。
「鈴………してる」
さっき見たばかりの痴態を頭の中で反芻し、低く愛を囁きながら、意識の無い彼の身体を欲情の赴くまま、深く深く貫いた。
end
Candaulism【寝取らせ愛好】
こちらの作品は【寝取らせ愛好】をテーマに、数年前執筆したものです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
小此木雪花
ともだちにシェアしよう!