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+月ノ夜+【涼介side】2/2

「――――……すけ? な、涼介?」  ぼーと、考えていたオレは、瑞希の声に、はっと、気づいた。 「あ……ぼーとしてた」 「……目、あけて寝てた?」  クスクス笑いながら、瑞希がじーっと見つめてくる。  2人でベッドの上。下着だけはいた状態で、瑞希を腕の中に閉じ込めている。さっきまで、抱き合って、高まった熱が冷めてきた所。 「……寝てへんよ」 「そっか」  くす、と笑って。  瑞希が少し顔を近づけて、オレにキスする。 「……りょーすけ」  唇が離れると同時に、にこ、と笑われて。ぽふ、と胸にまた収まる。  可愛くてならないのだけれど。 「……なあ、瑞希」 「ん?」 「一回ちゃんと、聞いてみたいんやけど、ええ?」 「うん。なに?」 「何でオレと付き合うって決めてくれたん?ほんまに、オレでええん?」  そう言うと。瑞希は、「この体勢で、そーいうこと、きくか……?」と、嫌そうな顔をした。 「嫌だったら、こんな事してる訳ないじゃん……」  言いながら、瑞希は、むくと起き上がる。 「涼介も、起きて」  言われて、オレも上半身を起こし、ベッドの上で、向かい合う。 「オレも、も一回、ちゃんと言おうかなって思ってたからちょうどいいや」  そんな風に言う瑞希を無言で見つめる。 「オレが、お前と付き合うのはさ―――……」 「――――……」 「お前のことが、この世で一番、好きだと、思ったから」  そんな風に言い切ってくれて。  何を返してわからないまま、瑞希を見つめていると。 「茶化さないで、聞いてて、涼介。話し終わるまで、黙ってて?」  真剣な顔で言われて、頷く。 「――――……オレ、ずっと居たいんだよね、どんな意味でも。もしかしたらさ、お前が恋愛とか言わなかったら、オレからはそうはならなかったかもしれないんだけど……」 「――――……」 「お前が誰かと付き合ったり、結婚とかして家族ができたりして、オレと疎遠になった時さ、きっと寂しいなと思っただろうけど……それをそういう気持ちだとは、思わずに、多分生きてったと思うんだけどね……」 「――――……」 「でも、オレ、いまはもう、お前がオレを見てくれて、こんなふうに好きって思ってくれるの知っちゃってるから……オレだって、いつも、そういう好きだって、思うようになってるし。 だからもう、戻れないし」 「……戻りたい?」 「あ、黙ってろって言っただろ。 ――――……だから、もう、戻れないし、戻りたくもないよ」 「――――……」 「……友達としても、恋人としても、これから家族みたいな意味にしても――――…… オレ、お前が一番好き」 「――――……」 「もう、絶対そうだって、思えてるから――――……」 「――――……」 「どうせさ、オレが流されてるとかさ、ちゃんと考えてないんじゃないかとかさ、お前は思ってるんだろ?」 「……そ、んな事は……」  ……あるけど。 「――――……だから、最後まで、しないんでしょ?」 「――――……」 「分かってたけど――――……んー……」  そこまで言って、黙ると。  瑞希は、とことこ膝で歩いてきて、ぎゅ、と抱き着いてきた。 「どんな意味でも一緒に居るし。 もちろん、そーいうのお前としたいなーとも、今は思うから、全然いいんだけどな……」 「瑞希……」  少しだけ体を離して。  瑞希が、まっすぐ、見つめてくる。 「――――……あのさ、涼介」 「……?」 「……信じてもらう、ためにもさ」 「――――……」 「……一緒に、暮らそうよ」  触れてしまいそうな位、至近距離で。  首に腕を回したまま。 瑞希が、そう言った。 「――――……りょーすけ?……返事は?」  首を傾げる瑞希を、オレはきつく抱きしめ返した。そのまま唇を重ねて、深くキスする。 「……ん……っ?……」  返事もなく、奪われたキスに、瑞希がすこし藻掻くけれど。  離さない。 「――――……んん……!……ン……っ……ん、ぅ……っ?」  は、と酸素を求めて開いた唇をさらに、ふさぐ。 「ちょ、……りょ――――……っ……」  ベットに倒して。上から押さえて、めちゃくちゃ、キスする。 「……ふ、ぁ……――――……」  背に、瑞希の指が、かかる。 「ふ、はっ…… きつ……っ りょーすけ、ちょっとまって、まっ―――……」 「――――……瑞樹、好きや」  体に触れだすと、瑞希は諦めたみたいで、引き離そうともがいていた手は、一度止まった。けれど。 「……っ ……ん、あ……っも…… もー!!……」  少しして、今度は肩を押されて、ぐい、と引き離された。 「……っ……りょーすけ、へんじ……!」 「――――……一緒に暮らす。ずっと、お前といる」 「……もう……! そっち、答えてから、こっちだろ……!」  言う瑞希に、オレは苦笑い。 「……っふ……!……ん……っ…… もう、りょうす…… バカ……っ」    瑞希を乱したくて、本気で触れると、そんな抵抗の言葉を最後に、あとは、顔を逸らして、唇をかみしめるだけ。  キスして、噛みしめた唇を解く。 「……っん……」 「――――……瑞希、ほんまに、好き。……大丈夫、今日最後までなんてしないから。 めっちゃ慣らす約束したしな?」 「……っ……ん」 「でもめっちゃ触りたい…… めちゃくちゃ、してもええ?……」 「……っ……~~~……っ」  真っ赤になったまま、小さく頷くのが、可愛くてたまらない。  とりあえず、明日から――――…… 引っ越しの相談、しよ。  そんなことを思いながら。  愛しくてたまらないその頬にキスして。  ぎゅと抱き締めて、 瑞希を腕の中に、閉じ込めた――――……。     +月ノ夜+【涼介side】 ☆Fin☆

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