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美味しいご飯_1

出会いは幼稚園の入園式らしい。 らしいと言うのは俺を含めた本人達にその記憶がないからだ。 つまらない仕事を終えて帰宅すると、すぐに鼻を擽る良い匂いに気が付く。 今日は………ビーフシチューだな。 靴の脱ぐと同時に腹の虫が鳴った。 いそいそと向かったキッチンには俺よりいくらか背の高い男が楽しそうに鍋をかき混ぜている。 「………ただいま」 広い背中に抱きつきながら声を掛けると、気配に気付いていたのか驚きもせず「おかえり」と言葉が返ってくる。 「……ビーフシチュー?」 「そ。静真(しずま)好きだろ?」 「ん、好き。実生(みお)の作ったやつが一番好きだ」 「さんきゅ。手洗ったら皿用意してくれるか?(しゅう)ももうすぐ帰るって連絡きてたから三人分」 「分かった」 言われた通り洗面台で手を洗って食器棚からシチュー皿を用意すると、ちょうど玄関からドアの開く音がした。 「愁帰って来たみたいだ」 「おっ、ちょうど良かったな。盛り付けちまうか」 美味しそうなビーフシチューが盛り付けられてる最中、リビングに顔を覗かせたのは派手な金髪の愁だ。 「たっだいまー!あー、疲れた」 「お疲れ、飯出来てるぞ。手洗ってこい」 俺が盛り付けられたビーフシチューをせっせと運ぶ中、実生は透かさず声を掛けた。 「んー、あんがと。おお!ビーフシチューじゃん!実生の作るビーフシチュー旨いんだよなぁ」 な?と愁が笑うから俺は慎重に運びながらコクコクと頷く。 「よっしゃ!気合入れて手ぇ洗ってくるかな」 俺の頬に軽く口を寄せると愁は洗面台へと駆けて行く。 運んでるのに…危ない。

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