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崩壊──04.*

「いいか、俺を拒んでみろ。ここに入れンのはそこにあるナイフだ」  膣の入り口付近に爪を立てられ、鋭い痛みに視界が滲んだ。  見たくなんてないのに、ソンリェンが顎でしゃくった先のテーブルに置かれたナイフに目がいってしまう。今朝仕舞い忘れていたトイのナイフだ。 「ズタズタにされてえか」  心も体も芯から凍えてしまい、もはや首を動かすことも出来なかった。  ソンリェンはガチガチに硬直したトイにチッと舌打ちし、髪を乱雑にかきあげた。 「大人しくしてろ」  再び顔を埋められ、ぬめった舌が這わされる。ぎゅっと目を瞑り、濡らされる感覚に耐える。 「ん、……く、ふ」  ソンリェンは、他人に自ら触れたがるような男ではない。許可なくこちらから触れてしまったら青筋を浮かべて怒るような人間だった。かなり潔癖の部類に入るだろう。  だからこそそれ専用の玩具でめちゃくちゃにされたことはあったが、こんな風に自らトイの下半身にむしゃぶりついてくるなどあり得なかった。  遊ばれて様々体液塗れになったトイを使用する際、ソンリェンは盛大に顔を顰めてはトイを蹴飛ばし必ずシャワーを浴びせ汚れを落とさせた。  適当に洗えば汚えんだよと罵られ乱暴にされるので、トイはソンリェンを相手にする時は必死に中を洗い、皮がむけるまで肌を擦っていた。  する時だって、彼は必要以上に服を脱いだりもしなかった。  一度に全員の相手をさせられる時だって、初めの一回以外は絶対と言っていいほど避妊具を着用していた。  理由は、誰かが突っ込んだ穴は汚いから。 『おい、てめえら誰か挿れたか』 『え?ああ、まだだよー』 『うわっでたよ、潔癖ソンリェン』 『って、またつけるんですか?それ』 『最初はつけねえよ……おい、何寝こけてんだ、さっさとベッド行ってうつ伏せんなれ』 『でもねえ、こっちもそういうの用意されると気分下がっちゃうんですよ』 『あっソンリェン!次使うの俺ねー』 『てめえらの汚ねえ汁まみれの穴なんかに突っ込みたくねえんだよ』 『酷いこと言うなよソンリェン、俺らが病気持ちみたいじゃねーかよ』 『散々中出した後の穴もさ、しっとりしてて案外いいもんだよお』 『ごめんだな』 『これの本来の良さを知らねえなんて可哀想だなお前、3周目ぐらいからかなり具合よくなんだぜ?』 『だよねえ、俺らのザーメンと愛液が混ざって生暖かくてとろっとろで……一度あれ経験すると生でしかできなくなるのにさあ、もったいないよね』 『うるっせえな、集中できねえだろうが黙れ……おい、触んなっつってんだろうが』  甦る記憶は、確か朝だった。  4人とも誰かの部屋に集まっていた。前の日もかなり酷使されて疲れ果てていて、視界も思考も朧気だった。  トイの体を散々弄んだ後、ボードゲームやチェスなどに興じていた彼らにシャワーを浴びる許可を貰い、ふらふらになりながら体を洗い気絶するようにカーペットの上に倒れこんだ。  ベッドに運んでくれる人間などいるはずもなく、そこで一晩を明かした。  一服終えて部屋に戻ってきたソンリェンは、朝だったこともあってか反応していた。処理をしようと思ったのだろう、床で丸まっていたトイはソンリェンの足で起こされベッドの上に投げ飛ばされた。  その時、不安定な体につい自分からソンリェンの袖を掴んでしまったことが彼の怒りを買ってしまった原因だった。  許可なく触られたことで一気に機嫌が悪くなったソンリェンに頬を張り飛ばされ、次に意識を取り戻せたのはうつ伏せにされて背後から激しく出し入れされている最中だった。  男たちに徹底的に壊されたあの日だって、トイはこれまで以上に酷い有様になっていた。  もう立ち上がることも動くこともできなくて、さすがのソンリェンもトイのあまりの有様に端正な顔を少しだけ歪ませていたし、嬉々としていたぶっていた他の3人も最後は汚らしい姿になったトイに気持ち悪さが先だったのか、誰も触れようとしなかった。  あの瞬間、トイに対する彼らの執着や性欲は全て無くなったはずだ。  トイはあの日彼らに全てを壊され、捨てられ、死んで、自由になったのに。それなのにどうして今更、こんなことになっているのか。 「ぁ……ん、ん」  恐ろしい、怖い、嫌だ。  心の底からそう思っていても、長くしつこい調教の末僅かな快楽を与えられただけでも反応するようになってしまった身体は正直だ。  しつこい愛撫によって少しだけ蜜を滲ませ始めたそこを、長い指先で押し広げられさらに丹念に舌を這わせられれば自然と腰がくねってしまう。  じゅるりと溢れた体液を音を立てて吸われ、びくんと腰が跳ねる。波のように襲いくるざわざわとした悦楽に、つま先で何度もシーツを蹴ってしまう。  快感を拾い喘ぎ始めたトイの姿に気を良くしたのか、ソンリェンの舌使いはさらに激しくなった。 「あ、あ、ぁあ、は」  ふにゃりと垂れたままのトイの幼い男性器にも、細い指は伸びてきた。ゆったりと巻き付いてくる冷たい接触に腰が引けそうになったがソンリェンの拒むなという厳しい命令を思い出して耐える。 「っ、ぅ……」  肉の棒の先端を押し上げるように摘ままれる。太い親指に皮の隙間からはみ出た桃色の肉を円を描くように弄られ、割れ目を押し潰され、焼け付くような痛苦に唇を噛みしめた。 「いっ、いたい、いた」  にちにちと緩く先端部分を弄ってきた親指の動きが、どんどんと激しくなる。  器用に輪にした指で下から上まで扱かれて、先端を包みこんでいる皮を引きずり下ろすかのようにねっもりとそれを繰り返される。  もちろん、蜜口も舌でいたぶられながら。  膣内と男芯を同時に弄られて、交互に襲いくる激痛と腰が疼く快感に脂汗がひっきりなしに溢れてくる。  この責め苦にはいつまで経っても慣れない。  1年前と同じく足指を丸め、シーツに爪を立てることで衝撃を緩和しようとするも、それすらもままならなる。  激しく乱れる自分の呼吸が、脳にガンガンと響いて煩かった。 「ん、い……ぃや、だ、そん、そんりぇ……くぁぁ……ん」 「痛えくせによがってんじゃねえよ、淫乱」  嘲るような含み笑いの後、ソンリェンが次に取った行動にまたもや目を疑った。あろうことかソンリェンの蠢く舌は割れ目を離れ、緩く起ち上がったトイの肉欲にまでたどり着いたのだ。 「ッ……!?」  ねっとりと細い根本に舌を這わせられ、信じられない面持ちでソンリェンにいたぶられる自身の男性器を凝視した。 「小せえなほんとに。これでしっかり男の機能持ってんだから笑えるな」 「な、な……や」  咥えさせられたことは数え切れないぐらいあったが、ソンリェンにしゃぶられたことは一度もなかった。 「静かにしてろ、噛みちぎられたくなきゃな」 「噛っ……」  怖ろしい言葉を証明するかのように、根本にゆるく歯を立てられる。  歯が舌への愛撫に変わり、剥き出しの先端部分を吸い付かれたところで噛み千切られるかもしれないという恐怖から解放された。  しかし今度は熱い刺激が剥き出しの神経にダイレクトに響いてしまい腰がくねるのを止められない。 「ひ……あ、ぁ」  赤く湿った舌から、焼け付くような熱が伝わってくる。 「きっ、きた、な、あっ」  トイのか細い悲鳴にソンリェンはほくそ笑み、さらに深く咥えこんできた。びくんと腰が跳ねる。  トイの幼い男性器は、ソンリェンの口の中にすっぽり収まってしまった。

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