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初めての友達──34.*

 今日のソンリェンはおかしい。  あまりにも言葉数が少ない。というか無言だ。  普段彼は、トイを痛めつけるために様々な罵詈雑言を口にする。インランだとか、バイタだとか、穴だとか、メス豚だとか。そして極めつけはてめえは俺のもンだ、と厳しく言い含められる。  だが、今はそれがなかった。うるさい、と組み敷いてきたあの瞬間から何も言わずにトイの身体に指や舌を這わせて貪ってくる。  貪欲に、何かに追い立てられるかのように。  聞こえてくるのはソンリェンの荒い吐息と、トイの悲鳴と嬌声だけだった。 「ぁあ、あ、ァあ」  ずぷんと奥を突かれて仰け反る。元々古くささくれ立っているテーブルだ、身体を押し付けられた状態で背後から貫かれ、腰を揺さぶられるたび腕や額が擦れて痛かった。 「はぁ、ふ、はぁ、ぁあ」  抜き挿しを繰り返されるたびあまりの激しさに足がずり上がり、テーブルに押し付けられた腹が圧迫される。犯されるがままに胎内に熱い飛沫を注がれ続けて、結合部からはこれまでソンリェンが出したものがだらだらと零れ、床とテーブルの淵を濡らしている。もう繋がっている部分の感覚すら遠かった。  ソンリェンは一言も話さない。だからトイも、ただソンリェンの名を呼ぶことしか出来なかった。 「そ、んりぇ……うぁ」  剥き出しの尻をぐいと左右に押し開かれ、深い角度でさらに奥をずんと突かれて喉が引き攣った。たまらず手を伸ばしテーブルの端を掴む。それでも穿ってくるスピードは変わらない。 「ひ、やあぁあ……やぁ……」  熱くてどうにかなりそうだ。子宮の入り口を叩くように挿入してくるやり方をソンリェンは一番好む。けれどもトイはそこを掻き回されるのが嫌だった。苦しくて仕方がない上、敏感な場所なので痛い。  しかし長時間酷使されたそこはもう緩みきっていて、大した抵抗もなくソンリェンの雄をずぶずぶと飲み込んでしまう。 「そんりぇ……ぁあ! 壊れ、しきゅう、こわれ、ちゃぅ……ぅッ」  はくはくと肺に入ってこない酸素を必死に飲み込む。テーブルに口の端から零れた唾液が染みついていく。口を閉じようとして、押し込まれる圧迫感と熱にそれもままならなかった。 「こわれ……ちゃ、……ぁっ」  何も言ってくれないことが怖かった。こんな状態になるくらいなら、いつものように残酷な台詞をぶつけられるほうがよっぽどましだ。 「は、はァ、そんりぇ、はぁ、あ、ふ」  首の裏をやんわりと噛まれながら、ぐるっと向きを変えられ足を顔の横まで抱え上げられて繋がりが深くなる。トイは悲鳴を上げたがそれももう掠れていた。なぜかというと。 「ひゃ、ぁあ、あ」  かなり喉が渇いていたからだ。 「ん、ぁ」  ソンリェンがテーブルに置いている袋から、桃色の菓子を鷲掴み引きちぎり、トイの口の中に指ごと突っ込んできた。甘ったるいそれを最初は美味しいとは思ったが、こうも執拗に食べさせられるといい加減気持ち悪くなってくる。  それに散々喘がされているので喉はからからだし、口周りなんてもう溶けた砂糖でベタベタだ。あんなにあったふわがしも、今はもう残り少なくなってしまった。  なぜこんなことをされるのかも分からず、しかし拒むことはできずにトイは放り込まれるそれを延々と口の中で溶かしては、膣の中を掻き回され喘いでいた。  しかもあろうことか、ソンリェンはトイの身体にまでそれを塗り込んでくるのだ。そのせいでトイの身体はもうどこかしこも溶けた砂糖でベタベタだ。胸も首筋も、へそも臀部も、足も、脚の間にそそり勃つ、トイの大事な肉欲も。  貴重な砂糖をこんなことに使うなんてどうかしている。しかしソンリェンはそんなこと気に留めずに、一心不乱にトイの身体にそれを塗りたくっていた。  吸われ過ぎて真っ赤に腫れ上がったトイの胸先にふわりとした感触のそれを置かれ、ざらざらとした砂糖ごと親指で弄られる。その次にやられることはもう決まっていて、大きな舌で尖りをちゅうと吸われその口を重ねられるのだ。溶けた砂糖と苦い唾液が混じった味のせいで、トイはもう何度も咽ていた。 「ふ、あ、ァ……」  甘ったるい声が漏れる、甘さと一緒にぐずぐずに溶けていってしまいそうだった。  苦しいはずなのに、もっと強く突き上げて男茎を扱いてほしいだなんてとんでもない思考さえ生まれてくる。 「ひ、ぁっ……!ま、待ってソンリェン、そ、そこ……は、ぁあァ」  急に電流のような痺れが脳髄を駆け上がり、艶やかな嬌声が溢れてしまった。勝手に身体が痙攣する。  ソンリェンは無言でトイの足を抱え直し、先程トイが感じた一点を抉るように腰を打ち付けてきた。 「やァッ……そんり、ぇ、やめッ、やめ、てっ」  そこは嫌だ、わけがわからなくなる。敏感な箇所を硬い杭にこれ以上ないほど掻き回されて、トイは狂ったように頭を振って鳴いた。さらにはぷくりと腫れた胸の尖りにむしゃぶりつかれるものだからたまらない。マグマのような熱が身体の中で激しく荒れ狂う。溶けてしまう。 「やあ、ぁあ、あッひィ―――あ、ぁあ、ァア」  痙攣を繰り返しながら腹部に力を入れて必死に肉棒を押し返そうとしても、快感を受け入れ慣れた内壁はぎゅうとソンリェンの異物を締め付け、誘い込むようにうねらせてしまう。  トイは自分の身体が憎くてたまらなかった。 「あっ、やっ、もうや、だ……ッちくび、吸わな……で」  噛み付かれすぎてトイの身体はソンリェンの歯型だらけだった。泣きながら懇願しているというのに千切れんばかりに胸の飾りに歯を立てられ強く吸われ、また甘い声がでる。 「や、ぁ……とれる、取れちゃう、から……!」  ふいにソンリェンが指先を下に持っていった。  恐ろしい予感がして身を捩るがそれは些細な抵抗だった。 「そんりぇ、ぅ、ひ、―――」  勃起し、はしたなく雫を垂らす男芯を容赦なく弄られて首を振る。 「そ、れいやいや、ぃや……だ、ァ……!」  竿だけではなく、小ぶりで未発達な袋も同時に。手のひらで包み込まれねちょねちょと揉み扱かれ、激しい水音に頭の中が白く霞んでもう何も考えられなくなった。自ら腰を回しソンリェンの手に押し付ける。  トイの痴態に獣のように喉を鳴らしたソンリェンが躍りかかってくる。ソンリェンの額に浮いた玉のような汗がぼたりと落ちてきて、肌に残っていたふわがしが溶ける。  背筋から脳髄までを突き抜けるような快感が爆発する寸前、掠れた声で叫ぶ。 「だ、めぇっ、も、イく、いっ、ちゃ―――ぁッ!!」  ぶるんと目の前で弾けた男根から白濁液が噴き出し、びたびたと顔に降りかかってきた。これで三度目だった。トイが射精してしまったのは。  強くなった締め付けにソンリェンが低く呻き一際大きく腰を打ち付けてきた。  大量の冷たい液体が子宮の奥にぶちまけられる衝撃に歯を食い縛る。渇いた喉を鳴らせば、口にも入ってしまった自身の精液が流れて来て苦みとしょっぱさと、かすかな甘さに苛まれた。 「はぁあ……あ……」  ぐちゅんっと腰を回されながら、一滴も残さず膣内に吐き出されて腹が膨らんでいく気がする。もう何度中に出されたのか、胎内の奥が苦しい。  全て出しきったソンリェンは一度引き抜くと、白濁液がこびり付いたトイの顔に喉をごくりと上下させ、またゆっくりと挿入してきた。 「ぅ、くぅう……」  果てがない。どうしてそんなに何度も何度もできるのだろうか。未だに萎える気配を見せないソンリェンの肉欲に恐怖を感じる。  性欲の塊みたいだったのは無邪気なエミーと体の大きなレオで、ソンリェンは4人の中でも淡白な方だったはずなのに。  繰り返される律動にトイはくしゃりと顔を歪めた。 「も、そん、りぇ……」  また激しい揺さぶりが始まる前にと、震える指先でソンリェンのシャツを掴む。  ボタンが外れ剥き出しになっているソンリェンの硬い胸には白い体液が散っていた。たぶんトイが吐き出したものがかかったのだろう。後でソンリェンに怒られるかもしれないが、それ以上にこのまま知らぬ振りをすれば別の意味で彼に怒られそうな事情があった。むしろ怒られるどころでは済まされない。 「聞い、て、おねが……といれ」  トイは勇気を振り絞って今一番言わなければならないことを伝えた。もう、羞恥とかそういうのを気にしている場合ではない。  ソンリェンがぴたりと動きを止めた。 「トイレ、行きた……たのむ、から少し……だけ」  追いすがるように畳みかける。実は少し前からトイは込み上げる尿意と闘っていた。しかしソンリェンはトイを一瞬たりとも解放してくれない。トイレは各々の室内にはなく外に設置されている。  ここで漏らしてソンリェンに殴られるよりも、せめて服を羽織ってトイレに行ってから殴られた方がまだいい。  振り払われる前に、ぎゅっとソンリェンの服を強く引っ張る。切羽詰まっている状態をどうにか伝えたかった。 「も、漏れちゃう、からぁ……っ」  堪えるように腹に力を入れ、もじもじと股を擦るトイの様子にソンリェンはすっと目を細めた。黙々とトイの身体を暴いてたソンリェンが僅かにでも顔の筋肉を動かしたのが久しぶりに思えて、何をされるのかと緊張する。  ソンリェンは挿入したものを引き抜くことはせず、トイをひょいと抱え上げた。 「ひゃっ……!」  トイは驚いた。今まで何を言っても聞く耳すら持ってくれなかったというのに、やっと話を聞いてくれる気になったのかと。急に高くなった目線に慌ててトイは落ちないようにソンリェンにしがみ付く。離せと手を叩かれることはなかった。  そしてそれ以上に抱き上げられたことにびっくりして、そして床に降ろしてくれるのかと思いきやトイを抱えたまま歩き始めたので二重にびっくりした。 「……、そん、りぇん」  ソンリェンが歩くたびに振動が繋がっている部分から伝わり、膀胱が押し潰されて尿意が高まる。トイは歯を食いしばって波のように襲い掛かるそれに耐えた。しかし玄関まで連れていってくれるのかと思っていたのだが、ソンリェンはあろうことかシャワー室の扉を開けた。嫌な予感がする。 「ぇ……あの、ソンリェン、トイレ」  狭い室内で膝を付いたソンリェンに、抱え込まれたままぐるんと身体の向きを変えられた。何をする気だと戦々恐々としていると、身体をタイルの壁に押し付けられトイは息を飲んだ。まさか。 「出せ」  それまで黙ったままだったソンリェンの第一声に、トイは目を見開いて呆けた。

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