切っ先の太い部分がにゅ、と入ってきて、そのまま勢いをつけて肉を巻き込みながらゆっくりと押し入ってくる。 「はぁっ……ぁあ！」 　舌とは比べ物にならないほどの圧倒的な質量にくらりと血の気が引いた。 　やっとまともに与えて貰えるであろう快楽を求めて身体の奥が直ぐに疼き、ソンリェンの穿ちを今か今かと待ち望み太い肉欲を食むように飲み込んでしまう。 　ソンリェンを迎え入れる中に満ち溢れたのは僅かな痛みと、それを上回るほどの満足感だった。そして、それは突き入れたソンリェンにも伝わってしまったようだ。 「うまそうに咥え込んでるじゃねえか」 「や、ぁ、ちが、ぁ……」 「何が違えんだよ、奥まで入るくせに」 　ソンリェンに執拗に身体中の肌を弄られながら、みっちりと奥まで挿入された。ソンリェンの形に慣れてしまった内部が波打っているのが自分でもわかる。肌を弄っていたソンリェンの手が腰の裏に回され、ぎゅっと引き寄せられて隙間なくソンリェンの身体が密着してくる。 　とくとくと、ソンリェンの速い鼓動が皮膚を通して伝わってきた。 「ぁ……ぁあ」 　最初から激しく抜き差しをしてくるわけでもなく、奥まで繋がった状態でソンリェンがゆったりと腰を回し始めた。トイとの繋がりを身体全体で味わおうとしているかのように。 「ぁっ、ぁ……あ」 　ぬるい快感は、今に始まったことではない。ここ最近、ソンリェンはこうして時間をかけてトイを犯すことが多くなった。トイの身体を時間をかけてどろどろに溶かしてこようとするのだ。 「ぁ、あ、あんっ……ひァ、あぁ、あ」 　緩かった動きが、だんだんと激しくなってくる。刺激を与えられ続けた膣内は、荒くなる突き上げにも柔軟に蠢いた。長らく放置されていた陰茎を穿ちに合わせて擦られて、零した液体を塗り込むように下から先までを絞られてたまらずに喘ぐ。割れ目に親指をねじ込まれ、ぐりぐりと丁寧に指を動かされて僅かな痛みとびりりとした悦楽に視界がぶれる。 「っは、よさそうだな……いいか？」 　霞む思考の中、こくんと頷く。いつもここまで理性を解かれてしまうともう何が何だかわからなくなるのだ。ただ貪欲に、目の前の男から与えられる圧倒的な熱に縋りついてしまう。 　もっとめちゃくちゃに突いてほしい、そしてもっと擦ってほしい。頭の中はそればかりだ。 　心と体は裏腹に、快楽に、落とされて行く。 「やあ、はっ……は、ぁ、ふぁァ、ア」 「どうしてほしい」 「ん、あ、も、もっ、と、ぉ」 「擦ってほしいか？」 　こくこくと、必死に頷く。 　素直でいれば、ソンリェンは多少トイの懇願も聞いてくれるし機嫌も悪くならない。それに早く、この身体中を苛む甘くて苦い責め苦を終わらせて欲しかった。 　ソンリェンは悦楽に満ちて赤らんだトイの頬を撫でながら、「いい子だ」と小さく囁いてきた。その低い声に滲む蜜にぞくりと唇が震え、自ら臀部を揺らしてしまう。 「ぁ、あ、……っアァ──ッ……！」 　そして願い通り激しく膣内を掻き回され、同時に男芯を手のひら一杯に扱かれてシーツの上で身を捩る。無我夢中でシーツを握りしめていた腕を捕らえられ、ソンリェンの背中に回される。涎を撒き散らかしながら、大きな背中に必死に縋りついて喘いだ。 「いいか」 「ァっ……ァ、アんっ、い、いいの、もっと、ぉ……ぁ、あ」 「──トイ」 　幾分か柔らかく、そして甘ささえ滲ませるような声で名を呼ばれ薄っすらを目を開ける。涙で滲む視界にソンリェンの青い空が見えた。 　最近のソンリェンはこうして深く絡み合いながら、トイが苦しすぎる悦びに思考を飛ばしそうになった瞬間を見計らうように。 「かわいいな」 　顔中にキスの雨を降らしながら、あのお決まりの言葉をバカみたいに囁いてくるのだ。 　＊＊＊＊ 「かわいいな」 　トイの目はとけた赤い飴玉のようだ。もしくは繊細なガラス細工。そんな甘そうで熱そうな赤を見つめながら、額、瞼、頬、鼻の頭。そして唇に口づけを落とす。こんな風に、誰かと時間をかけて繋がりたいなんて思ったこともなかった。こうして率先して愛撫を施してやることも。 　か細く震えるトイの身体はとても熱く、ソンリェンに確かな温もりを伝えてくる。 　トイが生きている。あの日壊したトイが、ソンリェンに与えられる熱にしっとりと喘ぎ、ソンリェンの穿ちに合わせて自ら腰を突き出してくる。 　──むろんこれは強制している行為だ。1年と半年散々身体を暴かれ苦しめられたトイは、悦楽に直ぐに理性を飛ばすようになった。まともでいれば苦しいだけだと、華奢な身体が楽になれる方法を覚えたのだろう。 　それはわかっているのだが、こうして腕の中でトイがソンリェンから叩きつけられる快感に激しく咽び泣く度、求められていると錯覚できる。だからいつもこうして、トイの幼い身体に過剰なまでの快感を与えてしまうのだ。 　毎夜気絶し、青ざめたトイの頬を撫でてから部屋を後にする際、次はもっと優しく抱こうと少なからず心に刻むのだが、そんな思考もトイの顔を見ればすぐに消し飛んでしまう。 　ソンリェンを見上げる怯えた目。恐れる目。拒否する目。そして、そこに溢れる悲しみの色。 　本当はこんなことしたくない、脅されてるから従っているだけだと、そんなトイの本音が入り混じる赤い瞳に苛立ち嗜虐心が裏打ちされ、さっさと快感を与え尽くして否定的な目を欲に溶かしてしまおうと躍起になってしまうのだ。 「あ、や、ぁあ」 　トイが快楽に悶え胸を突き出してきたので、尖ったそれに向かって舌を伸ばしてやる。れろ、と舐め、強く食み、さらなる刺激を与えるために赤く尖った窪みを舌で押し潰す。ぐるりと円を描くように舌を這わせれば白いシーツに赤茶色の髪が散った。濡れて見えるのは汗で湿っているせいだろう。 「……ひ、ぃぁ、アッ」 　のけぞる首。汗が滲んだその褐色の肌に、ソンリェンの唾液に塗れた薄桃色の胸がぷくりと震える。幼い身体に似合わぬ淫猥さに歯を突き立ててしまいたいという欲求が溢れ、抑えることもせず本能のままに歯を立てる。 「やッぁ、か、かまない、で、ぇっ……！」 　このまま噛み千切ってしまいたいという欲求も同時に膨れ上がったが、血が滲む前に直ぐに離し、僅かについた歯形を舌で丹念に嬲り甘さを与える。 　他の女が相手であればこんなことはしない。どれほどソンリェンがトイに飢えているか、トイは知らないだろう。 「そん、りぇ……、も、」 　見開かれたトイの赤色から、ころりと涙が零れ落ちた。赤い目なのに、溢れる雫が透明なのが不思議だななんて考えて、自分の思考回路の歪みっぷりにわいてんな、と心の中で一人ごちる。 　トイの赤らんだ唇から溢れる湿った吐息に、優越感を感じる。今、こんな艶めかしいトイを独占しているのは他の誰でもなくソンリェンただ一人だ。トイを残りの3人と共有していた時期があったことが信じられないくらい、トイに溺れていた。 　他人に対してここまでの独占欲を抱ける今の自分を、過去の自分に見せてやりたい。 「イきてえか」 　するりと頬を撫ぜれば、観念したかのようにトイが頷いた。 　トイの目から大粒の涙が零れ、ころころと綺麗なそれが白いシーツに滲んだ。もったいなさを感じて溢れた涙を舌で吸い取ってやり、脚を抱え直し臀部を上にしてから小刻みに腰を入れては引き、打ち付ける。 「ァっ、あ、あ、ィ、イく、イっちゃ──！」 　トイがひと際高く声を上げた。変声期を迎えた少年独特の掠れた声。快楽に染まったその淫猥な嬌声が耳朶に染み込んできて、どこまでも煽られる。 　肩に回させていた腕を片方だけ降ろさせ、強く握りしめられた指を一本一本に開かせて、指を絡ませながらシーツに押し付ける。ぎゅっと握りしめ返してきたのは反射だろうが、それだけで愛おしさが増すのだからどうしようもない。 　もう片方の手で幼い竿をぐちゅぐちゅと扱き、はしたなく零れたトイの体液を塗り込めるようにさらに激しく擦り上げる。 「イけ」 「ァッ……──！」