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第1話

 1階が酒場で、2階が客室になっている宿屋・バルレル。  そのバルレルに本日の宿をとり、トレジャーハンターのライルは弟のスグルより一足先に酒場にやって来た。 「お兄さんは剣士さんかしら?」  食事をする席に検討をつけていたライルに声をかけてきたのはスタイルの良い身体に露出の高めのドレスを着た、派手なメイクの女だった。  踊り子か、娼婦か、派手で露出狂な占い師かそんな夜の匂いのする女は続けた。 「私、強い人って好きなのよね。今晩、一晩、どうかしら? お兄さんならお安くしてあげるんだけど」  語尾にハートマークがつきそうな程、甘い声を出して、夜の匂いのする女はライルの鳩尾に自慢の巨乳を押し当てる。そして、ライルのこめかみを軽く撫でて、唇を奪おうとする……。 「彼は俺の連れだけど、何かご用でしょうか?」  繊細な仕事をする菓子職人が作り出したシュクルフィレを思わせる長い髪。ライルが黒髪に対して、白く光るくらい淡い色の茶髪が美しい男。  ライルの弟のスグルではなく、ライル達の同業者のフィリップだった。 「彼は俺と同じで、ハンターで剣士ではないので、もし、護衛が必要でしたら、腕利きの女性剣士を紹介しますが……」  フィリップはターラ、と女の名前を口にすると、ライルに声をかけてきた女は「ありがとう、必要ないわ。イ◯ポ野郎」と毒づき立ち去る。 「彼女はアーサラ。娼婦だったんですが、最近は躰を買った男に薬を盛って、所持金の一部を奪っていく稼業に乗り換えたようですね」 「フィリップさん、どうして、ここに?」  いつだったか、ライル兄弟はフィリップとフィリップの弟のクィルとはブマの町の近くで出会った。  当時、ライル兄弟の故郷であるブマの町からフィリップとクィルの出身国であるファウィの国へ向かう途中で、彼らの境遇が似ていたこともあり、意気投合したのだ。  生まれ育った故郷で、剣士や魔術士をしていたが、その場所を捨て、トレジャーハンターとして兄弟2人で生きていくことにしたこと。それに…… 「フィリップさんなんてみずくさい。君程のハンターならフィルで構わないと言っただろ」  フィリップがライルに近づこうとしたその時だった。 「おい、チャラ男。それ以上、ライルに近づくな」  ライルとフィリップが席にも座らず立ち話をしていると、後方から刺々しい言葉が聞こえる。  ライルが声のした方を見ると、長髪のフィリップとは違い、センターパートで短髪だが、白く光る淡い茶髪を持つ男がいて、大剣ではなく、大杖を持つライルと瓜2つの容姿を持つ男がいた。

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