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第25話

 翌日、スグルとクィルはウィマウから、ライルとフィリップはディシーからバルレルへ集まった。 「あの、その、ライルのこと、ありがとうございました」  珍しく、スグルはライルにちょっかいを出し、性格が合わないことから敵対しているフィリップに礼を言い、頭を下げていた。 「いえいえ、どういたしまして」  一瞬、驚いたようなフィリップの顔がスグルのグリーンとブラウンの目に写る。  だが、いつものように茶化して言葉を交わすのもおとなげないと、フィリップも素直に受け取る。 「あと、暫くの間、よろしくお願いします」  昨日、催淫剤によって熱を持ったスグルの身体を治めた後、クィルはスグルの身体を再びタオルで清めながら言った。 「スグル君。これは無理にとは言わないではないのですが、我々と一時的に共同で攻略にあたりませんか?」  クィルの言葉に、スグルはやはり今回のことでクィル達と比べると、ライルはともかく、自分が未熟であることが痛い程、感じた。 「あ、決して貴方が未熟と言う訳ではないですよ。技能や魔術だけで言えば、2年前の私……つまり、今の貴方と同じくらいの時を考えれば、貴方の方が余程、力もセンスもあるでしょう」  クィルが言うには今回の敗因はそのスグルの並外れた力。  その力に過信が全くないとは言わないが、それ以上に、あまりにライルと2人だけで攻略するということに囚われているのでないかと感じることがあるとクィルは続ける。  クィルが言うには今回の敗因はそのスグルの並外れた力。  その力に過信が全くないとは言わないが、それ以上に、あまりにライルと2人だけで攻略するということに囚われているのでないかとクィルは続ける。 「そんな、ことは……」  クィルに本当のことを言われ、スグルは息を詰まらせるが、その通りだった。 「ええ、その通りです。俺はライルと2人で、世界一のハンターにならないといけないんです。その為には貴方を越えないといけない」 「私を越える? その為にはダンジョンで死しても構わないと?」 「……」 「確かに貴方のように腕もセンスも良くて、プライドもあるハンターもいないこともありません。ただ、やはり、その大半がダンジョンの蔦となり、時には泡や砂、塵となり、消えていきました。私とフィル兄さんとで骨を拾ったこともあります」  クィルは珍しく少し辛そうな面持ちになる。  クィルがそこまで自分達に肩入れしてくれているのは理解できないが、スグルとしても無碍にはできなかった。 「ライルがそれで良いなら俺に異論はありません」 「では、最強双子トレジャーハンター・フィルさんとクィルさんと俺達の……」 「あ、ライル君。君達も最強なんだから」 「では、最強双子トレジャーハンター同士の同盟を祝して」 「「「乾杯!!」」」  バルレルの酒場には3日前と同じように酒や料理が並び、和やかに次のダンジョン攻略のことやその他のことが話される。  双子の、若手のトレジャーハンターとして既にギルド内で高い評価を受けていた2組が手を組んだことはその後、暫く、ブマやファウィには留まらず、デセルトや他の地方にも広がり、世間を騒がせていた。

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