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ヤキモチの仕方編 4 君の全部を独り占め

 全部、初めてなんだ。  好きな人ができたことも。  恋をしたのも。  キスをしたのも、  その……セックス、したのも。  全部、初めてなんだ。 「……多分」  だから、ヤキモチも……。  そっと、溢れるように溜め息が自分の口から零れ落ちた。そして、その口を拭うように手の甲で隠して。 「ヤキモチ、妬いたんだと……思う」  正嗣のことを好きなんだと教えてくれたのも正嗣だったっけ。あの時君は真っ赤になって自意識過剰みたいになりますけどって呟いた。  今も教えてくれた。 「これ、は正嗣には、嬉しい……のか?」  俺のこと困惑はヤキモチだと。この気持ちは独占欲だって。妬いてしまったんだって。そしてその独占欲が嬉しいんだって。 「嬉しいですよ。そりゃ」  口元を抑えていた手に正嗣の手が触れる。触れて、掴んで、そっと隠してた口元から外されてしまう。照れ臭くて、隠すものがなくなってしまった唇をキュッと結んだ。 「貴方が妬いてくれるなんて」  本当に? 心が狭いって思わないのか? 「……神様に妬いてもらえるなんて、最高です」  呆れない?  それなら、俺は。 「じゃ、じゃあ、妬く」  本当にヤキモチするんだからな。ちょっと話してただけで邪魔したくなるくらいなんだぞ。もちろんしないけれど、仕事や交友関係の邪魔はできるだけしないように心がけるけれど、でも内心ちょっと気になってしまって。視線とかどうしてもそっちばかりに向けてしまうんだぞ。 「ぜひ」 「たくさん妬く」  たくさん、するかもしれないんだぞ。 「えぇ、どうぞ」  なのに、そんなふうに笑ったりなんかして。後で、やっぱりあの時了承したことはなしで、なんて言っても知らない……から。 「俺も妬きます」  知らないんだから。後で、独占欲が鬱陶しいってなっても。 「貴方のこと誰にも獲られたくない」  俺の手を掴んでいた正嗣の手。その指先が柔らかい掌をくすぐるように撫でて、それから。 「ずっと独り占めしたい」  そっと唇が手の甲に触れた。柔らかくて、優しい口付けで。  ずっと、キスして欲しいって思った。 「どうぞ、いくらでも」  ずっと、そのキスを俺にして欲しいって。 「たくさん……」  できたら、手の甲だけでなく、唇にもしてほしくて、そっと手を引き寄せた。  そっと、そーっと引き寄せて、 「してくれ」  首を傾げて優しく、でも深く、キスをした。  独り占めしていいって言っていたから。 「あ、あ、あっ」 「こういうの、最高ですよね」 「やぁ……ン」  リビングに甘い音。 「ベッド以外のとこって」 「あぁぁ……ん」  濡れた音と、いやらしい声。  ご飯を食べたり、映画を見たり、くつろぐ場所にはあまり似合わない甘い甘い湿った音。 「繋がってるとこ、丸見え。自分から腰振ってやらしい」 「あ、だって……これ、気持ち、ぃ」  正嗣はこたつの中に足を伸ばして、俺はその正嗣の上に跨りながら、夢中になって腰を揺らしていた。 「やぁっ」  するりと服の中に潜り込んだ手に背中を撫でられて、キュッと身体が太くて硬い正嗣のをきつく締め付ける。 「いつも荘司と楽しくご飯食べるおこたのとこで」 「あ、あ、あ、言うなっぁ」 「今日の晩御飯、美味しかったね」 「やぁ……ン」 「や? でも、ここ、ずっとキュンキュンしてる」 「あぁっ! あっン」  とても太くて熱いペニスを咥えてる孔の縁を撫でられて、ゾクゾクしすぎてしまう。 「奥もすごく……」 「はぁ」  言いながら味わうように腰を下から押し付けられて、ゆっくり沈むように奥がいっぱいになる快感に震えた。  こたつテーブルに肘をついて、自分で腰を上げて、下げて。その度に正嗣ので擦られる中がたまらなく気持ちいい。 「上、着たままなのもエロいし」 「あっ」 「ね……」 「やぁ、服、あまり捲らないで、くれ、こたつの掛け布団、汚しちゃう、から」 「うん……トロトロ」 「や、あっ」  前を大きな手で包み込むように握られるともうそれだけでイッてしまいそうな心地になる。その掌に擦り付けるように腰を振って、身体の奥まで正嗣ので抉じ開けてもらえるように身体を沈める。 「あ、あ、あ」  とても気持ち良くて。 「あぁ、ン」  もっとしたくて。 「正嗣の、おっき、ぃ」 「うん。すごく興奮してる。この光景、何度も見たことあるから」 「……ぇ?」 「昔、貴方の動画で」 「……ぁ」 「綺麗な背中だなぁって見てた。触ってみたいなぁ……って」 「ふぅ……は、ン」  言いながら、その背中を撫でられて、ゾクゾクって切なくなるくらいの快楽に襲われる。 「いつも同じ部屋だったよね」 「ぁ……う、ん。自分の、部屋。他の場所でしたこと、ない。バレ、たら」 「うん」  いつも、部屋の一角で撮ってた。白い壁しかなくて、他に何も映り込まないようにしておいた場所で。そこ以外では撮らなかった。じゃないと、学校のものとか、鞄とか、私物が写り込んじゃうかもしれないから。 「今は俺しかこの背中、見られないんだ……」 「そ、ぅ」  振り返ると、うっとりとした表情でこっちを眺めてる正嗣がいた。いつもハキハキと元気な声で、明るくて、優しくて、誰にでも笑顔の正嗣が。 「正嗣しか、見たことない」 「……最高」 「ホント?」  その正嗣の頬を掌でそっと撫でてから、背中を捻って背後の彼にキスをする。 「もちろんです」 「じゃ、あ」  まだ唇は触れたまま、そっと、告げたんだ。 「もっと見せたら」 「?」 「俺に夢中になる?」 「……え?」  そっと、指先で頬を撫でた。 「俺も、誰にも獲られたくないんだ」 「……」 「正嗣のこと」  そっと……キスをした。 「だから、あっ……ン」  俺しか見たことのない正嗣の表情が見たくて、孔をキュッと締めつめながら、キスをしたまま、腰を浮かせて、くねらせた。仰反る身体を引き寄せるように抱きしめられて、背後から乳首をキュッと摘まれると、とても気持ち良くて、正嗣の掌が濡れてしまう。先走りが溢れて、握って扱いてくれる掌からくちゅくちゅってやらしく濡れた音がする。 「あぁっ……ン」  腰をしっかり手で押さえられながら、下から激しく突き上げられる。  きっと誰も知らない顔。色っぽくて、野生的で、ゾクゾクする。 「あ、あ、あ、激し、ぃ……正嗣っ」  男の顔。 「や、ぁ……見ちゃ、や」 「だめ、見せて」 「やぁ、ン」 「そんで、誰にも見せないで。この可愛い荘司を」 「見せ、ない、あ、あ、あ」  尻を手で鷲掴みにされて、咥え込んでいる孔をたっぷり見つめられると、孔の口がきゅぅってペニスを締め付けて恥ずかしがった。 「あ、あ、あ、あ」  全部に興奮して蕩けながらこたつにしがみ付く。  しがみ付いてるところを激しく後ろから責め立てられて、もう。 「イッちゃう」 「うん。俺も」  突き上げられながら自分からも「欲しい」って孔を締め付けて。しゃぶりついて。 「荘司がやらしくイクとこ見せて」 「あ、あ、あ、もっとして」 「荘司」 「あン、ん、あっ!」  そして、二人で見つめ合いながら激しく交わって、重なって、絡まって、達してた。 「ン……好き」  そう告げて、キスをすると、とびきりの笑顔で抱きしめられて。 「あ、正嗣」 「やばい……収まらないかも」 「ン、俺も」  とても嬉しかった。

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