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アオ「ううっ、ううっ」

とある休日のこと―――。 誠司は居間の大画面で映画を観ようと省吾を誘った。オオノが透かさず二人の為に、アオ自慢のケーキと紅茶を用意し始めた。その甘い匂いと芳醇な香りに気を良くしながら、ソファの端と端に二人で腰掛けた時、誠司にはふと気になったことがあった。映画の前に気持ちをすっきりさせたい。そう思って、省吾に聞いてみることにした。 誠司「アオの奴、タイトルまで行って、何を喚いてるんだ?」 省吾「うーん……〝おまけだ、うまいぞ〟かな?」 誠司「……」 省吾「信じてないね?」 誠司「あんな、ただ唸ってるだけで、なんでわかる?」 省吾「情報と分析だよ、アオの仕事と、タイトルのページを考えたら、それ以外にないだろう?」 誠司「へぇ……なら、賭けるか?」 省吾「いいよ」 誠司「俺は……そうだな、骨董的価値があるポスターを賭ける」 省吾「それなら、俺は……この世に一つしかないシルバーのバックル」 誠司は満足し、アオの唸り声を唯一理解する母親のところへ正解を聞きに行った。五分程して戻って来たが、その手にはパネルに入れて大切にしているポスターがあった。 誠司「ああ、クソっ、持ってきやがれ!」 二人の側で、オオノが呆れた顔をしていたのは言うまでもない。 省吾がポスターをオークションに出品し、それを誠司が法外な値段で競り落とすことが、オオノにはわかっていたからだった。 オオノ「誠司に、ただポスターを返すだけでは誠司のプライドが傷付く、とはいえ、坊ちゃんの気遣い方は、なんともはや捻くれている」

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