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第41話

 数日後、圭太は食料の買い物をするためにいつもとは違うエリアの店を訪れた。何となく、普段とは違うところで買い物がしたかったのだ。 色々と買い込んで店を出て、家路につこうと歩き出すと、「あれ?ケイタくん?」と後ろから声をかけられた。 声のする方を向くと、そこにいたのは琉季の同僚であるソラだった。 「ソラさん?」 「あ、覚えててくれたの?」  最近はヘルプに着いてもらう機会もなかったから、顔を合わせるのは久々かもしれない。 「もちろん」  圭太は笑顔を返した。 「それは嬉しい!あ、俺ケイタくんと話したいな。時間ある?」 「うん、大丈夫だよ」 「じゃ、良かったら、近くのカフェにでも行かない?」 「いいよ」  圭太が頷くと、ソラは「やった」と喜びを露わにした。  全国展開しているチェーン店のカフェ。ソラはたまに一人ででも来るのだという。 「こうやって、外で2人で会うこともあまりないから、話せて嬉しいよ」  ソラがクリームの乗った甘そうな飲み物を飲みながら微笑む。 「ありがとう。僕もだよ」 「え、ホント?」  信じられないとばかりに、ソラは笑った。 「本当だって。ソラさん面白いし」 「え、それ凄く嬉しいよ。うわ、何かほんとにケイタくんが僕の担当だったらなぁ」  圭太はその言葉に笑みで応えた。 リップサービスと分かっているけれど、そう言われて悪い気はしない。 「琉季さんと僕、同期なんだ。琉季さんの方が年は一つ上だけどね」 「あ、そうなんだ」  二人は親し気な感じはしていたけれど、同期だからというのがあるのだろうか。 きっと、琉季の色々な面を見てきたのだろう。圭太よりは琉季のことを熟知していそうだ。 だからといって、妬くわけではないが。 「僕は年下だから、何か敬語になっちゃうんだよね」  そう言って笑うソラの顔が妙に可愛い。 「同期でも、やっぱり気を使っちゃうよね」 「そうなんだよね。あ、そうだ。琉季さんは、ちょくちょくケイタくんの話をしてるよ」 「えっ?」  圭太は目を丸くした。もしかして、悪口でも言われているのか。琉季はそんな人ではないと思っているけれど。 「ケイタがあぁしたこうしたって。他のお客さんのことならそんなに話題にはしないんだけどね」  それはつまり、一体どういう意味だろう。 「へ、へぇ……」  圭太は反応に困ってしまった。 「琉季さん、ケイタくんのことを大事にしてるのが分かるよ」 「い、いや、僕なんて」  大袈裟過ぎるくらいに、ブンブンと手を横に振って否定する。  それを見て、ソラがぷっと吹き出す。 「面白いなぁ、ケイタくん。本当だよ。だからさ、ケイタくんも琉季さんのこと大事にしてあげて欲しい」  ソラは、真摯な目で圭太を見つめた。 「う、うん。そうだね」  赤面になりそうなくらい、妙に恥ずかしい。

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