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第1話
俺は、好きな人に振り向いてもらえない。
「おはよ、祐也」
「ああ…、おはよ」
同じクラスで友人という関係。井上祐也には、一個上に好きな先輩がいる。
「橋本さんならもう行ったよ」
彼女と、そう続けなくとも、祐也なら分かってるだろう。顔を歪めて、唇を噛んだ。
あぁ、俺ならそんな顔させないのに。
俺が橋本さんになれたら、絶対祐也を泣かせない。
そんなたらればが浮かんでくるのも、俺が祐也に恋焦がれているからだ。
橋本蘭じゃなくて、中野千秋に好かれてしまった、可哀想な祐也。
好きになってごめん。
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