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第一章・8

「さて、仕上げにかかるか」  駿佑は、ゴムホースを床に無造作に投げ捨てた。  そして取り出したのは、刃渡りの広いサバイバルナイフ。  四人は、震え上がった。 「臭うな。失禁したか。肝の小さい奴らだ」  冷たい刃を、一人の左胸に当てた。 「う、うぅ……」 「怖いか。お前らに殺されたネコも、怖かっただろうなぁ」  そこで初めて、四人は自分たちがなぜこんな目に遭っているかに気が付いた。  どこぞの婆さんと、隣のクラスの痩せたΩが可愛がっていた、ネコ。  気まぐれに、殺しただけだったのに。  ネコを殺して、あいつらが悲しむ姿を見て、指さして笑うだけのつもりだったのに!  涙と鼻水と涎を流す少年の胸に、駿佑は刃を滑らせた。  表皮だけを、切ってゆく。  ぷつりぷつりと、赤い血の粒が浮いてくる。  何度もナイフを滑らせて、駿佑は少年の左胸に『屑』という字を彫った。 「人にばらすなよ。言えば、今度は本当に殺す」  他の三人も同様だ。  最後の一人が終わる頃には、全員その場に突っ伏して失神していた。

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