8 / 118
第一章・8
「さて、仕上げにかかるか」
駿佑は、ゴムホースを床に無造作に投げ捨てた。
そして取り出したのは、刃渡りの広いサバイバルナイフ。
四人は、震え上がった。
「臭うな。失禁したか。肝の小さい奴らだ」
冷たい刃を、一人の左胸に当てた。
「う、うぅ……」
「怖いか。お前らに殺されたネコも、怖かっただろうなぁ」
そこで初めて、四人は自分たちがなぜこんな目に遭っているかに気が付いた。
どこぞの婆さんと、隣のクラスの痩せたΩが可愛がっていた、ネコ。
気まぐれに、殺しただけだったのに。
ネコを殺して、あいつらが悲しむ姿を見て、指さして笑うだけのつもりだったのに!
涙と鼻水と涎を流す少年の胸に、駿佑は刃を滑らせた。
表皮だけを、切ってゆく。
ぷつりぷつりと、赤い血の粒が浮いてくる。
何度もナイフを滑らせて、駿佑は少年の左胸に『屑』という字を彫った。
「人にばらすなよ。言えば、今度は本当に殺す」
他の三人も同様だ。
最後の一人が終わる頃には、全員その場に突っ伏して失神していた。
ともだちにシェアしよう!