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キャラメルクランチ駱駝固め
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恋人がチョコレートを渡し合う日。何だそれって思った。俺はそういうことには疎くて、あいつから聞いたのだった。だからそういうものだと思って、俺はここ4年間、チョコレートを作った。料理は時々するけれど、甘い物なんてこの日以外、ほぼほぼ作らない。買うという手があったことを、いつも作ってから気付くんだよな。
恋人がチョコレートを渡し合う日。そんな決まりはなかった。別に恋人でなくてもよかった。渡し合う必要もないし、チョコレートでなければならない理由もない。企業戦略に乗っかって、1年のイベントとして楽しむのもいいし、乗らずに鼻で嗤うもよし。
今年は恋人 が菓子を渡す日になった。それでお前にもらってもらえない初めての日。もう作らないよ。だからもらいに来い…なんて八つ当たりか?
見通しの悪い交差点。今でも息が出来なくなりそうだ。花束は、今日だけ、不謹慎だけれどバラの花。俺は王子様みたいだとお前が言った。それならバラだろう?今日はバレンタインなんだ、今日はバレンタインだから。
それでもチョコレートは作らなかった。だってチョコレートを渡し合う日じゃなくなったから。
お前はチョコレートが大好きでも、俺はそんなに好きじゃなくて、結局お前は食わないし、俺はお前の下手くそで不恰好なチョコレートをもう食えないのだから、俺の好きなものを作る。それでもやっぱり甘い物は、あまり好きではないんだよ。
息ができなくなりそうだ。喉が渇いて、ここでお前を感じる必要はないけれど、俺の部屋でもお前の部屋でもいつものカフェでもなく、ここにお前がいるような気がして、なんだか信心深いよな。恋人がチョコレートを渡し合う日なんて簡単に信じるような俺 なんだから。
キャラメルクランチを齧る。キャラメルクランチにした理由はない。俺が食えて、お前も食えた。それから起きない俺にお前がかけてくる寝技もそんなだった。口の中は能天気に甘いのに、あの技みたいに苦しいな。
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薔薇は回収したほうがよさげ。
2021.2.13
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