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7.誕生日4
「すみません、起こしてしまいましたね。タオルを取り替えます」
「うん……ありがとう……」
額に乗せていたタオルを新しいものに取り替えると、晴太郎は気持ちよさそうに目を閉じた。
熱のせいで赤くなってしまった頬に触れると、思った以上に熱かった。もしかしたら熱が上がっているかもしれない。
「七海の手、冷たくて気持ちいい……」
もぞもぞと布団から手を出して、晴太郎は頬に触れていた七海の手をきゅっと握る。頬だけでなく手も熱かった。
「欲しいものや食べたい物があれば持ってきますが、何かありますか?」
「………ななみ」
「はい?」
握った手にぎゅっと力が入るのがわかった。
「……俺が寝るまで、傍にいろ」
弱った主人が寂しがり屋になるのは昔から変わっていない。まるで幼児のような可愛いおねだりに、思わず笑みが溢れる。
顔が赤いのは、もしかしたら熱のせいだけではないのかもしれない。
「あなたが寝るまで、ずっと此処に居ますよ」
そう言って握られていない方の手で頭を撫でると、晴太郎は安心したように目を閉じた。
今日はもともと晴太郎のために時間を使う様に予定を組んでいた。彼の看病以外に何も予定はないので、ずっと傍に居ることは問題ない。
傍に居るだけで何もしないでいると急激に睡魔が襲ってきた。クリスマスパーティーからそこそこバタバタした日を送っていたし、昨夜は晴太郎の看病であまり寝ていない。七海も疲れが溜まっていた。
晴太郎から静かな寝息が聞こえてきたのを確認して、七海は晴太郎の眠るベッドへ寄り掛かる様にして座る。
完全に眠ってしまっては、晴太郎に呼ばれた時に動けない。ほんの少しだけ休もう、と七海は静かに目を閉じた。
*
ーーピンポーン……
インターホンの鳴る音で目を覚ます。晴太郎も目を覚ましたようで、もぞもぞと布団が動いた。
はっとして時計を見ると、昼はとっくに過ぎていた。思った以上に寝てしまったようだ。
「坊ちゃん、すみません。すぐに戻ります」
そう声をかけると、握られていた手が解放された。たぶんインターホンを鳴らしたのは黒木だ。薬を持ってきてくれたのだろう。七海は急いで玄関へ走る。
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