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第1話
side.狼
むかしむかし、あるところに、とても気が弱いオオカミがおりました。
オオカミは、となり村に住む悪い住人が仕掛ける罠に、いつもかかってしまいます。
その罠は、オオカミ以外、誰も引っかからないものでした。
そんなですから、オオカミは村のみんなから馬鹿にされ、いじめられておりました。
「うわ~ん、やめてよ。いたいよっ!!」
ボク、オオカミの狼 っていいます。
15歳です。
茶色い天然パーマの頭にはふたつの耳があって、尻尾もちゃんとオオカミなのに、でもボクは今、ウサギ族の兎 くんと、キツネ族の狐:(こ)くんに叩かれたり蹴られたりしてます。
「なんだよ、オオカミ族の長の息子のクセに弱ええなぁ!!」
「罠にもかかるし、とろくせぇし、そんなんで村を守れるわけないだろ?」
ひ~ん、痛いよっ。
ポカポカとボクの頭を叩いたり、お尻を蹴ったりされて、ボクはとうとう泣きべそをかいてしまう。
「うええええんっ!」
でも、どんな時でも救世主はやって来る。
ボクの場合、その救世主っていうのは......。
「ごるああああああっ!! てめぇら、ナニしてんだよ!!」
「げぇっ!! 赤ずきんだ!! 逃げろっ!!」
赤いずきんを被った、ボクよりも少し背が低い、ボクと同じ年齢の黒髪の男の子。
ちょっぴり......。
――ううん、かなり口は悪いけれど優しい子なんんだ。
「大丈夫か?」
去っていった兎くんと狐くんたち。
入れ違いで赤ずきんくんがやって来てくれた。
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