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第9話
その日から、僕たちは狼くんをいじめなくなり、代わりに、僕と狐くん。狼くんと赤ずきんくんとで、野原でダブルデートをするようになったんだ。
「お前、ちゃんと狼に謝ったのかよ」
だけどやっぱり赤ずきんくんは狼くんにした仕打ちが許せないらしく、狐くんを怒る。
「謝ったよ、うるせぇな~」
「うるさいってなんだよっ!?」
「まあまあ、ふたりとも、落ち着いて……ご飯食べようよ」
「狼! お前もちゃんと怒れよ!!」
「ほんとそれ! お前さあ、なんでこいつの尻に敷かれてるんだよ!! オオカミ族ならしっかりしろよな!」
「う、ええっ!?」
……ありゃりゃ。
ふたりを宥めようとした狼くんなのに、怒りの矛先が狼くんになっちゃった。
赤ずきんくんと狐くんの仲は相変わらずだけど、ケンカするほど仲が良いっていうらしいし、こうして意気投合しているし、きっと大丈夫だよね。
チュンチュン。
小鳥さんのさえずりを聞きながら、僕は大好きな狐くんの隣でサンドイッチを頬張る。
大空の下、こうしてみんなで円になってご飯するの、楽しいね。
*END*
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