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「スイッチ」1 ※

 啓介は――――……マジで、エロい。と思う。  普段は優しくて、オレの嫌な事なんかしないし、すごく、良い奴。  なんだけど。  1回、そっちのスイッチが入ると。  触り方がやらしすぎて、あっという間に、その気にさせられる。  キスだけで、オレは抵抗もままならなくなってしまう。  回数、増えれば増えるだけ、気持ちいいとこ全部把握されて。  気持ちいいと、感じる所も、新しくどんどん増やされてる気がして。  敵わない気が、してしまう。   「……っ……あ……ッ」  目の前が真っ白になるみたいな感覚の中、昇りつめて。  は、と、詰めていた息を吐く。  啓介との行為が終わった瞬間。  やっと、体の力を抜けた。  長かった。  ……やっと、終わった。  こうなる事分かってたのに、ついてきて。泊まって。  分かってたけど、押し倒されて。  オレほんとに、何してるんだろう。……分かってたのに。  いつもいつも、意味が分からなくなる位、気持ちよくさせられてから、入れられる。もう慣らすの良いって言っても、やめてくれず。入れられてからも、なかなか終わらない。  散々乱されて、やっと、終わった。  中から抜かれる時も、もう敏感になりすぎてて、ぞく、と震えてしまう。 「も、はな、せよ……」  いつまでくっついてんだよ、と、押しのける。  シャワー、浴びたいけど――――……だるくて今は無理。  何となく啓介から顔を逸らしつつ、うつぶせにベッドに体を沈めるつもりで、布団を自分に掛けながら倒れようとしたのだけれど――――……。  不意の啓介の動きに邪魔された。  布団を奪われ、背後から、腰の辺りを掴まれる。 「なに、啓介……?」  うつ伏せになってた腰をあげられて、強張ってる間に。  再び、背後から貫かれた。 「ひ、あ……ッ……何してン、だよ……っ」 「……たまには このまましよ?」  いやだ、と拒否しても、体を更に抱き寄せられて、腰をゆるりと動かされる。 「あっ……っ……今、終わった、だ、ろ……っ」 「ん、ちゃんと新しいゴムつけた」 「……っんなこと、言ってんじゃ……」 「ええやん。――――……めちゃめちゃ、気持ちよくするから」  抵抗を試みるのに、啓介の熱っぽい声が耳元で囁くと、力が抜ける。  ぞくり、と首を竦めた後、その言葉の意味を知って焦る。  分かってる。  達したばかりって、感じすぎてヤバいの、知ってる。  前にされた時に死ぬかと思って、それ以来、続けてするのをとことん拒否ってたのに。 「い……嫌だって……ッ!」  じたばた藻掻いて、啓介から逃れようとするのだけれど。  けれど、一番中心を後ろから貫かれているという、体勢の不利は明らかで。 「やぁ……やっ……」  逃れようと腰を捻り、腕を伸ばして、背後の啓介の体を押し返そうと藻掻く。そんな様を見ていた啓介が、中で大きくなった。 「……何……っ で、興奮す……っ」 「腰、ひねんなや。 エロ過ぎ……」  囁かれて、かあっと顔に熱が集まる。  エロイのは、オレじゃなくて、お前だよ、もう!  この、バカバカバカバカ……!!! 「……やめ……っん、あ……!」  抱き締められて、背後から、奥を突き上げられる。 「……っ……ばか……や……」 「――――……バカとか、嫌やなくて――――……気持ちええて言うて」 「……っウ、んっ……」 「雅己……」  背中に何度もキスされる。  ぞわぞわして、もう、マジで、無理。 「………けい、すけ――――……っ」  涙が止まらなくなってきて。  ぶる、と震えながら。振り返る。と。 「――――……っ」  一瞬、啓介が動きを止める。 「……あっぶな――――……やばいから、泣かんといて」 「……っなにがだ、よ」 「……可愛すぎ……ここでオレがイったら、嫌やろ?」 「――――……っ」  全然嫌じゃない。むしろ、終わってくれた方がいい。 「……っん……っ……」  背中に伸し掛かられて、体勢的に、いつもより奥まで入れられて。 「……っ……あっ……ん、っう……」  回ってきた手が胸に這う。刺激されながら、肩の辺りを甘噛みされる。  首筋や肩、噛まれるの、弱いって――――……。  それは、啓介に教えられた事。 「……んんっ……」  色んな事をいっぺんにされると、もう、頭、働かない。  ほんとに、おかしく、なりそう。 「……まさみ」  耳元で囁かれて、ん、と震える。  後ろをぎゅ、と締めつけてしまう。 「――――……気持ちいいて、言うて」 「……っ……いや、だ」 「……ええやん。言うて?」 「こんな、むりやり……だから、やだ……」 「――――……」 「……っ……」  はー、と息を吐いて。  急に、啓介が、中から抜いた。 「うわ、なに……」  急に抜かれるのも、気持ち悪い。  もう――――……なんだよ。 「……無理矢理て言うなら、もうせえへん」 「……は?」  ――――……え。ここで、やめるってこと?  つかここまで、しといて、やめるって……。  え、なに、もう離れるの?  と思いきや。 「――――……っ」  ――――……啓介の、それが、後ろに押し当てられた。 「……どうしたい? 雅己」 「――――……っ」 「しないほうが、ええ?」 「……っ」  もう、こいつ、バカなの?  ――――……散々しといて、無理矢理って少し言ったらやめるとか。だったらこんな事最初からするんじゃね……って、こいつ、やめる気なんか、ねーよな……。  オレに、してって言わせたいだけ……。  めちゃくちゃムカついてきて、後ろの啓介を睨みつけた。

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