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「翻弄される」※

 一昨日泊まった時は、何もされなかった。  抱き締められて。キスはされたけど、それだけ。   あとは一緒に眠っただけ、だった。  今日は、夕飯食べた後で、お腹がいっぱいで動けないオレを置いて、先に啓介が風呂入って。  んで、その後、オレも風呂から出てきて……。  と、風呂上がりのオレに近づいてきた啓介に、手首を掴まれて引かれて、寝室に連れ込まれた。 「え?」  え。……まさか、だよな? だって、まだ、20時だし。   こんな早い時間から始めたり、しねえよな??  そう思ってる内に、何だか易々とベッドに押し倒されて。   せっかく着たばかりの服を脱がされて。 「ちょっ……こんな、時間から何す……」  オレを組み敷いてる啓介の腕を掴んで何とか一時制止して、そう言うと。  啓介は、クスクス笑った。 「……時間、関係ある?」 「――――……っ」 「……オレ、いつでも、お前、抱きたいて思うてるし。昼間でも、朝でもいーけど……?」  言われた言葉に、不覚にも赤くなったと、思う。  だから何でオレはここで、赤くなるんだ。意味が分からない。  啓介はふ、と笑うと。 啓介の腕に触れてたオレの手首を掴んで、頭の横に押しつけた。  そのまま、唇が重なってきて――――……深くキスされる。 「…………っ……」  舌が差し込まれて――――……きつく瞳を伏せてしまう。 「……ぅ、……ん……っ……」  最近、本当に、強気で。  ……優しいのは変わらないけど、強引な感じには輪がかかってきた気がする。 そして、何でだか分からないけれど、オレには、啓介のその強引なのを遮る力が、無い、みたいで。 「……ん……ふ」  深く深く舌が絡み合って――――……そうかと思うと、ついばむように、優しく降ってくる、キス。  首筋や頬を唇でなぞられて、動く事すら、出来ない。  キスが延々と続いて――――……。  そのうち、指が、体を撫でるように動き始める。  いつも。  啓介の、この行為は最初、いつも、同じ。  キスだけなのに、熱くなっていく体を、自分が持て余した頃に。  全部分かってるみたいに、触れてきて。  嫌になる位、優しい。 「……雅己?」 「――――……」  じ、と見上げると。  ふ、と笑われた。 「――――……どぉした……?」 「……何で、オレにすんの?」 「何でって――――……好きやから」 「――――……」 「……可愛くて。――――……泣かせたいから?」  クスクス笑った啓介に、再び、唇を重ねられた。 ◇ ◇ ◇ ◇  もう何回こうして、抱かれたんだろう。  ――――……オレを、好きだという、啓介に。  あまりに快感ばかりが強い、啓介の愛撫は。  いつも、貫かれる時すらも――――……自分でも納得行かない位、痛みを感じない。 「……っ……ん、う……っ!」  シーツを握りしめて、耐えていたオレは。  開かされた脚の間で、啓介が軽く動いた瞬間。声をあげた。  痛かったんじゃ、ない。  ――――……背筋を走り抜けた感覚に、驚いて。  「…………んっ……! っん……ぁ……!」  その後も、同じ所を幾度か突かれて、そのヤバい感覚に、怖くなって、ぶる、と首を振って、唇を噛みしめる。 「……ここ。えぇんやろ?」  耳元で、低く笑う啓介。  その囁きにすら、ぞくぞく感じてしまう。 「……ん、う……ッ……」  こんな感覚、人に叩き込んどいて、  笑うな、ばかばかばかばか……!!  ちゃんと言葉に出来れば、それだったはず、なんだけど……。  だけど――――…… 言葉がまとまりを成してくれない。 「……ん、っあ……は……!」  お前と。 こんな風にならなければ。   こんな感覚を感じる事は、絶対、なかった。  こんな――――……訳わからず翻弄される事も。  前じゃなくて、後ろで、  なんて、考えた事も、なかった。 「けい、すけ……」 「――――……」  呼んだオレを、ふと見下ろして。 「イイ顔――――……可愛え、雅己」  頬に手をかけられて、深く口づけられる。 「――――……雅己、好き」 「ん、あっ……」  深く突き上げられて、舌、奪われて。  ゾクゾクしすぎて、後ろを締め付ける。 「は。……そんな、締めんなや……」 「――――……っふ……」 「……雅己、気持ちええ?」 「……っ……ん……」  悔しいけど――――……もう良すぎて。  真っ白な快感の中、小さく、頷くと、啓介が、ふと笑う。 「……オレも―――……めっちゃ気持ちええ」 「――――……っ」 「……可愛え。――――……ほんま、好き、雅己」 「……っも、それ、言うなよ……っ」 「何で。 可愛えもん――――好きやし……」 「……っ……っ」  ああ、もう、なんかもう――――……。 「大好き、雅己」  耳元で囁かれて、ぶる、と、震える。 「も、やだ、言うなら、やめて……」    本気で押しのけようと藻掻くけれど、すぐに突き上げられて。  もう、啓介に縋るように、しがみついてしまう。  激しく突き上げられる度に、意識が朦朧としてくる。  熱くて、涙が目尻を伝うと、啓介がすぐ舐めとる。 「んっ!……ふ、あ……っ……んぁ……」  深く中へ入れられると、自然と体が上に逃げようとするのだけれど、啓介はそれを許してくれない。腰を掴まれて、引き戻される。 「……っ……んん、あっ……」  啓介の思うまま。  中で受け入れて。  啓介に抱きつく。  また深く口づけられて。  全身が強張って――――……その瞬間を迎えた。  

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