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「辛いだけじゃ」※

「……ふ……ン、ぅ……」  奥をぐ、と圧迫されたまま、腰を回されて。  感じすぎて、気が遠くなる。 「……けい、すけっ……」 「――――……雅己……」  いつも余裕、なのに。  オレを抱いてても、余裕があって。   いつでも、本気で嫌がれば止めて、くれて――――……。  こんな切羽詰まった顔、してるの――――……初めて、見た。  ぞく、と体の奥で何かが震える。   「……雅己――――……」 「……ん、ぅ……」  深いキスが重なってきて。  舌が絡められて、めちゃくちゃ、吸われる。  もう、なんか――――……全部、きもち、よくて。  啓介の、激しさも――――……全部きもちよくて。  腰を掴まれて、どんどん激しくなる。  もうだめだ。きもちよすぎて。 「あ、あっん……ンっ……んう……」  突かれるたびに、先から蜜が溢れてる。  頭が真っ白で。 「も……むり……はげし、すぎ…」 「――――……受けろや……全部」 「んン……っ……う……っ」  もうだめ。  もうむり。    シーツを手繰っていた両手首を掴まれて、顔の横で括られた。  手を繋ぐみたいに、指を重ねて、きつく握り締められる。  なんか、これ――――…… 恥ずかしいんだけど……っ。  けれど、縋るものは今それしかなくて。  きゅ、と啓介の手を、思わず、握る。  胸の奥が、なんか、痛い。 「……雅己」 「……っん…」  突き上げられてのけ反るしかない。上向いたその唇を塞がれて。 「……んん……ふ……ン…っ」  ……むり、こんなキス……息できない――――……。  苦しくて、少し、顔を背けて口を離そうとするけれど。  追いかけてきた唇に、また塞がれる。 「……ぅ……んっ……ふっ……」  ……酸欠、だってば――――…。   「……っあ……」  キスが離れると同時に、繋いでいた手が解かれて、啓介の手が腰を掴む。激しい突き上げから、一転、ギリギリまで抜いて、ゆっくり奥まで入れるのに変更したらしくて。 「……ん、んん……ッ」 「――――……雅己……」 「――――……っん……あ……」 「めっちゃ好きやで――――……」 「――――……っ……!」  ――――……あ、もう、ほんとやばい。  言われた瞬間。  達してしまった。  前に触れられなくても、いけちゃうんだな……オレ、もう。  そんなことできるように、ならなくてよかった気がするけど……。 「……は、あ……っ」  オレばっかり、何回も、イッて、啓介はまだ……。  つか、もうオレ、そろそろ気が遠くなりそう、なんだけど……。 「っ……けー、すけ……」  力の入らない手を、啓介の首に回す。 「――――……雅己……?」 「―――――…けいすけ…」  ぎゅーと、しがみつく。 「……雅己?」 「――――……けいすけ……」 「――――……」  ぼんやり、見つめていたら。啓介が、ふ、と笑って息をついて。  唇を重ねてきた。  優しくキスされて、目を閉じる。  すぐに、ふっと離れたので、目を開けると。まっすぐ目が合って。 「―――……あと少しだけ我慢しとって?」 「――――……ん……っ」  頷くと、ゆっくり突きあげられて。  何度か繰り返したあと。啓介が、中で、イッた。  ゴム越しに、中で熱くなるのが分かって、ぶる、と震える。  ゆっくり引き出されて、啓介がゴムを外して処理してから、汗が落ちてきてる額を、掻き上げた。 「あっつ……」 「――――…けいすけ……?」  無理に終わらせてくれたみたいな、それに、啓介を見上げると。  ふ、と笑って、近づいてきた啓介に少し体を起こされて抱き締められて、ちゅー、と頬に口づけられた。 「――――……堪忍、辛かった?」 「…………」 「雅己?……平気?」  頬に触れられて、優しく摘ままれる。  さっきまでの激しかったのが嘘みたいな、優しすぎる触れ方に。 「――――……辛かった……」 「は。……堪忍な」 「……だけじゃないから、平気……」 「……ん?」 「だから……辛いだけじゃ、無かったから、大丈夫」  言ったら、じ、と見つめられて。  また唇に、キスされた。 「……そういう事言うと、またおさまりつかなくなるんやけど」 「――――……」 「お前、もうちょっと色々考えてから、喋って、動いてや」 「――――……なにそれ」 「……さっき、何で、急になめたりしたん?」 「――――………あれは、いっつもオレばっか、焦って、困ってるから。お前、驚かせたかったていうか……」  そう言うと。 「ほんまに、そんな理由で、したんか?」  驚いたような啓介の顔。 「……うん」  頷いたら、啓介は、はー、と息をついて、くた、と肩に額をぶつけてきた。 「アホやなあ、お前――――……抱きつぶすとこやったわ」 「……っ」  確かに。  ……ちょっと、ほんとに、死ぬかなと思った…。 「――――……途中で、正気戻って良かった、オレ」 「…………」  笑いを含んだ優しい声に、啓介を見上げる。  もういつも通りの、優しい笑みに、何だか、安心する。  見つめていたら、くす、と笑った啓介に、また優しく、キスされたので、  ゆっくり、目を伏せた。

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