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「大分覚悟」

 オレからキスしたまま、絡んできてた舌をそっと離されて。  なんだかこっちを見つめてる気配。  ゆっくり瞳を開けると、啓介の優しい瞳。 「――――……めずらし」  言いながら、ちゅ、と軽くキスされる。 「……るさい――――……」  言うと、くす、と笑われて。  ぎゅ、と、抱き締められて、深くキスされる。 「……オレさ」 「ん?」 「……オレ……ん……」 「―――ん?」 「……ン……ッん、ぅ……」  舌、めちゃくちゃ絡んでくる。 「け、すけ……」  少し離して名前を呼ぶと、啓介は少し名残惜しそうに離して、オレを見つめる。 「ん、なに?」 「――――……オレ……」 「うん?」 「――――……」 「どした?」  頬に触れて、すり、と優しい手つきで撫でる。 「……ここ、引っ越してきていい?」  優しく笑ってた顔は、オレがそれを言った瞬間。ふ、と真顔になって。  オレをじっと見つめる。 「……誘ったのはオレやからダメな訳ないやん。何で聞くん?」 「うん。そうだけど……でも、一応、最終確認」 「――――……ずっと、オレと居る覚悟できたって事で、ええの?」 「……ずっと先の事とかはわかんねえけど……」 「――――……」 「……今はお前と居たいし……当分は、お前と居たい、から」 「――――……そこは、覚悟できたって、答えとけや」  苦笑いの啓介に、頬をつままれる。 「……うん。覚悟は、大分した」  目の前で嬉しそうな啓介を見つめながら、そう言ったら。  抱き寄せられて、キスされて。 「――――……あ、でも引っ越しは、親に話してからな?」 「何? オレらの関係を?」 「へ?」 「恋人って?」 「っ違うっつの。 啓介と住む事にしていいかってって」 「ダメとは言わんやろ。 お前のおかん、オレの事めっちゃ好きやし」 「……否定はしないけど」  何回か家に来ただけなのに、啓介の事が凄いお気に入りで。  大学に入り一人暮らしをする時も、徒歩で行ける距離なら、啓介と暮らしてしまえばいいのにと何回も言われた。オレは、一人暮らしに憧れてたから、断固拒否したけど。  ……だから、ダメとは言わないのだろうけど。 「恋人になったって言ったら、さすがに、出禁になるんじゃねえ?」 「そーかなあ? お前のおかんなら、許してくれそうやけどな」 「……そんな簡単じゃないと思うけど……」  でも相手が超お気に入りの啓介だからなあ……。 「――――……雅己」 「ん?」 「……明日電話して?」 「あ、母さんに?」 「うん。そんで了解取って、どんどん引っ越ししよ」 「どんどんって……」 「手伝いにいくから、さっさと段ボール詰めて、引っ越ししてきて?」 「――――……うん、分かった」  ぷ、と笑いながら、答えると。  啓介が、ぎゅうっと抱き締めてきた。  唇が重なって、舌が触れてくる。 「――――……ン……っ……」  啓介のキスって――――……。  なんかほんと、熱すぎるなー……。

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