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「好きかも」

 ――――……そんな話を、昼にして。  今夕飯の準備、啓介と一緒にしていたら。  和馬から、OK貰ったという連絡が入ってきた。 「おお。和馬が告白うまくいったみたい」 「そうなん?」 「うん、お昼にさ」  なんて話し始めて。そういえば啓介はなんて言うのかなーと思って。  和馬がオレに聞いたのと同じように、啓介にも聞いてみた。 「啓介なら、どうする? 考えさせてって言われたら」 「……考えさせてなら、考えてもらうやろ」 「うん。それで?」 「OK貰えたら、そっから頑張ればええやん。他に目ぇいかんように」 「――――……」  考える事もなく、啓介はそう言って。  おお。迷わないな、と、感心してるオレの顔を不思議そうに見て。 「何ん? 他に何を考えるん?」 「――――……」  ……比べられた時点で、嫌とか。  も、が嫌だとか。     ……他の皆が嫌だっていうのも、分からなくはないんだけど。 「――――……けーすけ」 「ん?」  ご飯のお茶碗としゃもじを持ちながらオレを見下ろす啓介に。  なんか、やっぱりオレは、啓介、好きだなあと思って。  両手が塞がってる啓介の胸の所をちょっと引いて。  え?と不思議そうな啓介に、軽くキスをした。 「……は?」 「――――……オレ、お前、好きかも」 「――――……は? かも? かもって……つか、何、キス」 「ご飯よそってー、オレお味噌汁よそるからー」 「は??? ちゅーか無理」  手に持ってたものをカウンターに置いた啓介に、手首を引かれて。  キスされて。  軽いキスで終わるかと思いきや、後頭部に置かれた手にぐいと押し付けられて、深く重なってきて――――……。 「……ん、ン……っ……」  否応なく、舌が入ってきて、絡む。 「……ふ……………っ」  息苦しいし。舌、めっちゃ絡んでくるし。  涙の滲む瞳で、啓介を見つめる。  ――――……もう。  軽く、キスしただけじゃんかー。  ちょっと好きかもって、言っただけなのにー。  こんな本気なキスになっちゃうとか、  啓介、マジのスイッチがどこにあるんだかわからない……。 「……っんん、ん……っ」  もうやめろーと、言ってみる。  でもしつこくキスされて。 「……ん、ん、けい……」  名前を呼ぼうと試みるけど、また塞がれて。  ――――……ダメだこれもう。 「…………っふ、……ん、ぅ……」  啓介にキスされてると、なんか色々ビクついてきてしまうので、  これからご飯、て時に、やめてほしいんだけど……。 「――――……ふ、は……」  柔らかく舌を噛まれて、ようやく、離してもらえた。 「――――……きつすぎ……」  は、と息をつきながら、涙目でちょっと睨むと。  それすら、なんか、可愛くてたまらないみたいな顔で見られる。

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