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「思い知る」※

「……雅己」  啓介の手が肩に回って、ぐい、と引き寄せられて。キスされる。  すぐに離れて、まっすぐに、じっと、見つめられる。 「今、腹減っとる?」 「――――……」  何その質問。  減ってないって言ったら、どうなんの?  もう何となく分かってるので、返事をしないで啓介を見上げていると。 「――――……しばらく後でも、ええ?」 「……っ……」  見つめてくる瞳が、あやしすぎる。 「……お祝いしてからって、言ったじゃん」 「――――……こっちでお祝いしてからにしよ?」  そんな台詞に、かぁっと熱くなる。 「……っばか、なの?」  これで、嫌じゃなくて、恥ずかしくなる理由は。  ……ちゃんと分かってはいるけど。   「うん。まあ。 ……そうかも」  くす、と笑った啓介に、腕を引かれて、あっという間に、ベッドに組み敷かれる。上から、じっと、見つめられる。   「なんやもうオレ、完全にやる気なんやけど……」 「う、わ、 マジで、バカ……っ」  脚に、熱いの、押し付けられて――――……。  そんなの本当に嫌だったら――――……嫌悪、なんだろうけど。     ぞく、と背筋をやばい感覚が走る。 「……っ……1回、だからな」 「んー…… オレが1回?」  手が、服の下から胸を撫でる。  もう、絶対こいつは、もともとオレが嫌がるなんて、きっと思ってない。  それが、ちょっと悔しいような……。 「…… っ ちがう、ふたりとも1回……っ」 「――――……んー…… まあ……そん時次第で」  クスクス笑いながら、舌が耳の中に入ってくる。 「……ん……っ……や……」  抗議しようとして開けた口に、キスされて、舌が奥に入ってきた。 「……んぅ……――――……っ……」  キスされながら胸を弄られて、どんどん熱が上がっていく。 「……あっ……や、……」  服をめくられて、乳首に軽く噛みつく啓介。 「……んっ……あ、……っ……」 「――――……は。 気持ちええ?」 「――――……っ……」  指と舌で、両胸を刺激されて、唇を噛みしめる。  胸、なんかで、何で、こんなに――――……。  啓介がいっつもしつこいからっ……っ。 「……可愛ぇなーこれ……」  そんなこと言いながら、バカ啓介は、乳首にちゅ、と吸い付いた。 「……ぅン……っ」  びくん!と顎が反る。  もぅ、無理……。  首を振って、快感、逃そうとするけれど。  それも、無理。  ――――……もうほんと、オレ。  お前、全部、受け入れちゃうの、かなり悔しいんだけど……。  でも、やっぱり、好きだからだよなぁと。  なんだか、すごく、思い知る。

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