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「責任?」

 よいしょ、と組み敷かれて。 「え?」 「……ご期待に応えようと思うて」  押さえつけられて、首筋に啓介の顔が埋まる。 「っわ、嘘だろ……っ もう、今は、やだ……っ」  むちゅ、とキスされて、きつく目を閉じる。 「……ご、めんって……っ……でも、言ったのはほんとだけど……っ」 「――――……は。なんやそれ……」  ぷ、と笑って、啓介が離してくれた。 「さすがに今は冗談やけど……」 「――――……お前のは冗談な気がしない」 「別にしてもええんやけど」 「……ご飯食べたい」 「………まあ、せやな。シャワー浴びて、飯、食おか」  クスクス笑いながら、引き起こしてくれる。 「……うん」  今度こそご飯食べれるかなと、訝しんでいると。 「引っ越し祝いしてから、またにしよなー」 「――――……」  ……またする気なのか……。  ちょっとうんざりしてると、笑われる。 「オレを選んだんやから、諦めろや?」 「――――……」  そうっちゃそうだけど……。  別にそこで選んだわけじゃねーし……。  ていうかむしろそこは、どっちかっていうと、激しすぎて、マイナスポイントじゃねえのかな……???  複雑な思いに、考え込んでいると、啓介はおかしそうに笑い出して。  肩に回った手に抱き寄せられて、深く、キスされる。 「――――……も、諦めな?」  くす、と笑って、よしよし撫でてくる。  ――――……もう、脱力。  お前の思い通りなんて。絶対やだとか、思ってたけど。  結局そんなお前と付き合うって決めて、オレは今ここに引っ越してきてしまった訳で。 何か、もうここまで来ると、逆らうのも馬鹿らしくなってきたような。  ……というか。本当に嫌だったらここにきてねーしなぁ。  啓介は、オレの顔を見て、何だか面白そう。 「何や、そのおもろい顔。何思ってるん?」 「……オレ、いつからお前が好きなのかなあ?」 「――――……何やそれ?」  首を傾げた啓介に、頬に触れられる。 「どこからこういう事してもいい、好きになったのかなあ?って、思って」 「――――……お前は、最近なんやない?」 「お前はって。啓介は?」 「……高校ん時の途中、かなあ…」 「はっきりしないの?」 「はっきりせえへんな」  そうなんだ。啓介でもはっきりしないんだ。 「……プールん時に直視できなかったり、から始まったと思うんやけど……そん時は、否定しようと頑張ってたしな」 「そうなんだ……」 「……なのに、お前ときたら、何も考えんと、ほんま距離近いし」 「――――……」 「キスしたいとか、触りたいとか。否定したり抑えるんも、結構大変やったよ」  クス、と笑って、啓介がオレを撫でてくる。 「……そこで抑えてたから、最近、爆発してんの?」  思った事をそのまんま聞いたら、啓介が目を丸くしてオレを見て。  それから、吹きだして、大笑い。 「はは、お前、ほんま、おもろ――――……」  笑いたいだけ笑ってから、笑いすぎな啓介にムッとしてるオレにキスして。 「……そうかも。だから爆発してるんかも」  すり、と頬を撫でられる。 「てことは、お前のせいやから――――…… 責任取って?」  クスクス笑いながら、目を細めて、オレを見つめてくるから。  ――――……責任かぁ……。  もうなんかよく分からないけど。  あんまり、優しく見つめられるので、拒否すんのもなんだかなと思って。  ん、と頷いてみたら。また、ちゅ、と優しく唇が重なってきた。  

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