103 / 245

「責任?」

 よいしょ、と組み敷かれて。 「え?」 「……ご期待に応えようと思うて」  押さえつけられて、首筋に啓介の顔が埋まる。 「っわ、嘘だろ……っ もう、今は、やだ……っ」  むちゅ、とキスされて、きつく目を閉じる。 「……ご、めんって……っ……でも、言ったのはほんとだけど……っ」 「――――……は。なんやそれ……」  ぷ、と笑って、啓介が離してくれた。 「さすがに今は冗談やけど……」 「――――……お前のは冗談な気がしない」 「別にしてもええんやけど」 「……ご飯食べたい」 「………まあ、せやな。シャワー浴びて、飯、食おか」  クスクス笑いながら、引き起こしてくれる。 「……うん」  今度こそご飯食べれるかなと、訝しんでいると。 「引っ越し祝いしてから、またにしよなー」 「――――……」  ……またする気なのか……。  ちょっとうんざりしてると、笑われる。 「オレを選んだんやから、諦めろや?」 「――――……」  そうっちゃそうだけど……。  別にそこで選んだわけじゃねーし……。  ていうかむしろそこは、どっちかっていうと、激しすぎて、マイナスポイントじゃねえのかな……???  複雑な思いに、考え込んでいると、啓介はおかしそうに笑い出して。  肩に回った手に抱き寄せられて、深く、キスされる。 「――――……も、諦めな?」  くす、と笑って、よしよし撫でてくる。  ――――……もう、脱力。  お前の思い通りなんて。絶対やだとか、思ってたけど。  結局そんなお前と付き合うって決めて、オレは今ここに引っ越してきてしまった訳で。 何か、もうここまで来ると、逆らうのも馬鹿らしくなってきたような。  ……というか。本当に嫌だったらここにきてねーしなぁ。  啓介は、オレの顔を見て、何だか面白そう。 「何や、そのおもろい顔。何思ってるん?」 「……オレ、いつからお前が好きなのかなあ?」 「――――……何やそれ?」  首を傾げた啓介に、頬に触れられる。 「どこからこういう事してもいい、好きになったのかなあ?って、思って」 「――――……お前は、最近なんやない?」 「お前はって。啓介は?」 「……高校ん時の途中、かなあ…」 「はっきりしないの?」 「はっきりせえへんな」  そうなんだ。啓介でもはっきりしないんだ。 「……プールん時に直視できなかったり、から始まったと思うんやけど……そん時は、否定しようと頑張ってたしな」 「そうなんだ……」 「……なのに、お前ときたら、何も考えんと、ほんま距離近いし」 「――――……」 「キスしたいとか、触りたいとか。否定したり抑えるんも、結構大変やったよ」  クス、と笑って、啓介がオレを撫でてくる。 「……そこで抑えてたから、最近、爆発してんの?」  思った事をそのまんま聞いたら、啓介が目を丸くしてオレを見て。  それから、吹きだして、大笑い。 「はは、お前、ほんま、おもろ――――……」  笑いたいだけ笑ってから、笑いすぎな啓介にムッとしてるオレにキスして。 「……そうかも。だから爆発してるんかも」  すり、と頬を撫でられる。 「てことは、お前のせいやから――――…… 責任取って?」  クスクス笑いながら、目を細めて、オレを見つめてくるから。  ――――……責任かぁ……。  もうなんかよく分からないけど。  あんまり、優しく見つめられるので、拒否すんのもなんだかなと思って。  ん、と頷いてみたら。また、ちゅ、と優しく唇が重なってきた。  

ともだちにシェアしよう!