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「どんな意味でも」

 ――――……毎日してたら飽きちゃう?とか。  ――――……毎日一緒だと嫌じゃない?とか。 そう言われてしまうと、もうなんかオレ、そう言ったとしか、思えない。  ……恥ずかしすぎる。  もうこの話はおわりにしよ、とばかりに、ばくばく食事を食べ始める。  そんなオレにクスクス笑いながら。 「飽きるとかは大丈夫やと思うで。オレ、一生、出来るだけお前の近くに居ようって思うてるし」 「――――……」 「まあ。お前が嫌にならない限り、やけどな」  くす、と笑って。そんな風に言う。 「飽きるとかやなくて、いっこずつ、好きになってくもんなんやと思うし」 「――――……じゃあ。分かった。普通に、居る事にする」 「ん」  頷いて、啓介もまた、食事を再開。 「……なあ、雅己?」 「ん?」 「1回聞きたかったんやけど」 「うん」  もぐもぐもぐ。 「……オレの事、いつから、そういう意味で、好きになってくれたんか、分かる?」 「……っご、ほっ!!!」 「あーあー……」  変な方に吸い込んで、苦しんで咳き込んでるオレを、ため息交じりにそう言いながら、背中をさすってくれる。 「……だいじょぶか?」  やっと収まって、涙目を拭いてると、啓介はものすごい、苦笑い。 「……はー……苦しかった……」  ……辛かった。  ……そんで、なんだっけ。 「――――…… 啓介を、いつからって……」 「……うん。いつ?」  苦笑いしながら、オレを見る。 「まあ……カッコいい奴なーていうのは、転校してきた日から、思ってたよ?」 「――――……ふうん。そうなんや」 「うん。まあ。それは見た目な? ……ただ、それは……好きとかじゃねーから……んー。その後、一緒に居て楽しかったし。 啓介、オレを特別扱いしてくれるから…… それが嬉しかったのはあったし……」 「特別って……例えば何……?」 「……家に泊まりにおいでっていってくれたり。 夏休みとかも、泊まりっこしてたし。 ……他の奴とはしてなかったじゃん?」 「ああ……」 「――――……でも、あれも、やっぱり、友達だったし……高校ん時はずっと友達で……」 「……――――……」  啓介は、何が楽しいのやら、ニコニコしながら、オレを見てたけど。  オレがうーん?と考え始めると。 「わーた。じゃあ、ほんまに最近なんやな」  そかそか、と納得してるっぽい、啓介。 「――――……んー……まあ……ちゃんと、頭で思ったのは、そうかも」  オレの、微妙な言い回しに、啓介は、ん?と首を傾げた。 「どういう意味や?」 「――――……どこから、とかはよく分かんない。男同士で友達って思ってたし。だから、そんな風に考えた事は無かったし」  ――――……意識して好きになったのがいつって言われたら……ついこないだ、かもしんない。受け入れようって、決めた時、がその時かもしんないけど。 「そこ、区切んないと嫌? ちゃんと区切るなら、最近だけど。……でも、全然そんな気持ちない奴と――――……寝ないし……好きって言われてから……でも、つい最近まで色々悩んでたし……うーん。分かんないかも……」 「――――……いや。もう、ええわ。 区切らんで」  ふ、と啓介が笑う。 「……オレの事、どんな意味でも、前から好きやったってのでええわ」  なんか、啓介はそんな事を言って、ほくほく嬉しそう。

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