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「夜中に」

 ふと目が覚めて、手が自然と、啓介を探す。  いつからか。勝手に、そうするようになってる。  寝ぼけてる間に手が啓介に触れると、もうそのままま眠りにつく。  のだけれど、今日は啓介が居なかった。  ……あれ。  居ない――――……。  むく、と起き上がって、目をこするけど。  やっぱり居なかった。  ――――……トイレ……?  まだまだダルイので、枕に突っ伏してしばらく待つけど、来ない。  オレ啓介が居ないと、最近、目、さめちゃうんだよなあ。  居てくれれば、そのままずーっと寝てられるのに。  啓介、来ないなあ。  どうしよ。見に行こうかな……と思った時、ドアが開いて、啓介が入ってきた。  もぞ、と動いて、啓介の方に顔を向けると。  そっと入ってきて、そっとドアを閉めた啓介がオレを見て、あ、と笑んだ。 「起きたん?」 「――――……トイレ?」 「いや。夕飯とか片づけてきた」  あ。そっか。途中で、ベッド来ちゃったからか。 「ありがと……」 「――――……オレが無理無理こっち連れてきたからなー」  クスクス笑いながら、啓介がベッドに入ってくる。 「――――……別に無理矢理じゃないし……」 「……そか」  ふ、と笑みをこぼして、啓介がオレを抱き締めて、そのまま横になった。 「――――……お前、夜中オレの事、よう探すの、知っとる?」 「……よく探す?」 「少しだけ目ぇ覚めた時なんかなあ。手で、オレ探して見つけるとくっついてきて、そのまま寝んのやけど」 「――――……」  ……まあ。今さっき、それ、したばっかり。  で、居なかったから、目ぇ覚めちゃった。 「……なんか無意識に探されると、めっちゃ可愛ぇ」  むぎゅ、と抱き締められて、啓介の笑みを含んだ声に、包まれる。 「――――……啓介、暖かいから」 「ふうん。そっか」  クスクス笑う啓介。 「――――……まだ夜中やから。寝とき」  優しい声が、する。  言われなくても。抱き締められて、髪の毛撫でられていると、もう、勝手にウトウトしてきていて。目、開けていられない。 「……けーすけ」 「――――……ん?」 「……おやすみ……」 「……ん」  よしよし、と撫でられる。  ――――……なんかもう。  これより、幸せな感じで寝られるとか、ないんじゃないかなと思ってしまう位。  ポワポワして、暖かくて、優しくて。  ――――……なんか幸せ過ぎて。  そのまま、眠りにつきかけた時。    「――――……ほんま……可愛くてたまらんし……」     囁かれて、額のあたりにキス、されたような。  ――――……されたような。も確かめられない位。  もう次の瞬間には、完全に眠りについていた、と思う。

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