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「試験勉強とか」
翌日。
朝食を終えてから、2人で試験の勉強。
「……けーすけ、これ和訳して」
「んー……」
少し眺めてから、ノートにさらさら書いてくれる。
「――――……なるほど……」
言ったオレに、ぷ、と笑って啓介が。
「なるほどやないやろ。ほれ」
と突っ込みながら、辞書を渡してくる。
「なんでお前はずっとオレと居て、同じような事してんのに、勉強できんの」
ぐったりしてると。
「さあ……堪忍なー、頭良うて」
クスクス笑いながら冗談ぽく言っているけれど。
正直冗談とは取れない。
「はー、やな奴……」
……ほんと頭良いんだよな。
くそ。 こいつの欠点は、何なんだ。
何でもできる啓介に、むむむーー、と唸っていると。
「――――……ココアとカフェオレ、どっちがええ?」
「……ん?」
「入れてきたるよ。どっち?」
「……すっげー甘いカフェオレ。アイスがいい……」
そう言うと、啓介はクス、と笑って、よしよし、と頭を撫でながら、立ち上がった。
乱れた前髪を軽く直しながら。
啓介が渡して行った辞書を開く。
「――――……」
ほんと。
……欠点はどこだろ?
ルックスは……もう言いたくないし。声も良いし―……。
運動神経いいしー。筋トレとかをやり続けらる意志強い所もなー……。
キャプテンとか任されるしー。
学級委員とか普通にやるしー……。
家事とかもふつーにこなしちゃうしー……。
よく気づくしー。
優しいしー……。
…………いやいや。
オレは何を言ってるんだ。
これじゃただただ、啓介を、褒めてるだけみてーじゃんか。
なんか恥ずかしくなってくる。
ただ辞書をぺらぺらめくりながら、意味なく時を過ごしていたら。
「――――……雅己、さぼってるやろ?」
笑いを含んだ声がすぐ背後から聞こえて。
テーブルの上にコースター、その上にグラスが置かれた。
「……サボってないし」
開いた辞書をそのままめくっていく。
「――――……どーせサボってるし、ちょっと休憩しよ」
「だからサボってな――――……」
肩に触れられて、む、と振り仰いだ唇を、塞がれた。
「……ん――――……」
――――……キスも、うまい。
他の奴とした事ないから、比べられないんだけど。
気持ち良いから。うまいんだと思う。
離してほしいと、思えないから。
「――――……雅己、口開けて」
「……ん?」
クス、と笑った啓介は、キスを離して、オレの口に何かを突っ込んだ。
「――――……チョコ?」
「ん。糖分補給」
「うまーい……」
「好きそうやなーと思って、こないだ買うたんや」
「うん、好き。おいしー。食べた?」
「食うてへんけど」
「何で?」
「5粒しか入っとらんかったから。オレ別にチョコ無くてもええし。雅己が全部食べたらええと思って」
「高級なの?」
オレの聞き方に、啓介はぷ、と笑って。
「んー、まあ、ちょっと高級そうやった」
クスクス笑いながら、オレの頭を撫でる。
「美味しー」
「英語終わったら、また持ってきてやるから」
「うん。頑張る」
入れてくれたカフェオレを飲みつつ。
目の前に座った啓介を見つめる。
――――……欠点。
……どこかな。
真剣に考えてしまう位、思い当たらないって、すごい。
なんて思う。
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