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「湯気出そう」

「……高校の時とか我慢してたから、今そんなにすごいの?」 「――――……」  キスの間でしたオレの質問に、啓介が、目をぱちくりさせながら。 「………オレ、そんなにすごい?」  苦笑いで聞いてくる。 「え。すごい自覚無いの?」 「――――……そんな言われるほどすごいん?」 「……そう聞かれると、他の奴を知らないから、何とも言えないんだけど」  2人で見つめ合って、首を傾げて。少し笑い合う。 「……でも、オレはきっと、するほうになった時、啓介みたいにしつこくないと思う…」 「オレ、そんなしつこい?」 「……しつこい自覚はあるよね??」 「まあ。あるんかなあ」 「――――……つか待って、何の会話だ」  何だか急におかしくなって、笑い出してしまった。 「まじめな顔して、何話してるんだろ、オレ達」 「まあ、せやけど……」  啓介も苦笑いで。 「……でもあんまりしつこいとか、めっちゃ思われてンのも嫌やなあ?」 「――――……」 「しつこくて嫌なん? やめた方がええ?」 「――――……」  ちょっと心配そうに、そんな風に聞かれてしまう。 「前は、雅己が自分ちに帰る日もあったし、毎日やなかったし。……まあ、ちょっと考えとって?」  言いながら、啓介がオレから離れて、食器棚からカップを取り出してくる。 「……考えとくって何?」 「どんくらい迄なら嫌やないか?とかかな」  啓介がそんな風に言って、クスクス笑いながら、カップをカウンターに置く。  紅茶を入れてる手元を見ながら、んー、と考える。  どれくらいなら嫌じゃないか??  ……それは、何? 毎日かってこと? オレが拒否ったらやめてくれるって言ってたけど、てことは拒否らなければ、毎日なのかな?  ていうか、毎日するの? できるの??  ……普通そういう事って、どれくらいするの??  よく分からない。  オレ、自分でするとかだって、そんな毎日とかした事無いし。  ……え。嫌がらなかった時以外毎日?として。 毎日一回……?  いやでも、啓介一回でも、オレその間に一回だった事ないし。  ……いやいやいやいや、オレいま、勉強途中の、楽しいティータイムに、1人で、頭んなかで何考えてんの。  啓介が一回の間にオレが一回じゃないとか……ひー、まじで何ー!!  ぷしゅーーーー。なんかそんな音が出そうな位。  湯気が出そう。顔から。あっつ……。  頬を両手で挟んで、擦ってると。  ぐい、と啓介に引き寄せられた。  顔、見られて。クスクス笑われる。 「なんなん?――――……可愛すぎなんやけど……」  紅茶にお湯を入れ終えたみたいで。  ちょっと空いた時間。 「何をどう考えたん?」 「……考えてる内に恥ずかしくなって、無理になった」 「あ、そ」  クスクス笑って、啓介が頬にキスしてくる。 「まあえーわ。オレが雅己をその気にさせられれば、ええやろ?」 「――――……」 「嫌な時は断ってええよって事にしたもんな」 「……うん。それでいいや。もう考えるの、恥ずい」 「ん」 「それに…… よく考えたら――――…… 基本的には、嫌じゃないから……ここに居るんだし」  啓介を見上げて、そう言ったら。  啓介は、じっとオレを見つめてから。ふ、と笑んだ。 「――――……めっちゃ好き、雅己」  ちゅー、とキスされて。  頬をすりすり、と撫でられて。  ふ、と笑ってしまう。  

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