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「リクエスト」

 図書館から帰ってきて、シャワーを浴びてさっぱりしてから、夕飯。  で、その後。今度はレポート。 「なんかさー……こんなに勉強すんの久しぶり」 「そやな」 「テストと一緒にレポート提出とか……大変……」 「まあでもまだ日にち、あるし。大丈夫やろ」 「ううーーーん」  唸ってると、啓介が笑い出した。 「もう集中、切れた?」 「……うん。も、無理。今日。啓介はまだやんの?」 「んー……ここまでまとめよかな」  今開いてるべージの、終わりのとこを指してる。 「オレはまた明日頑張る。もーやめるー」  そのまま後ろに倒れて、置いてあったクッションに後頭部を沈める。 「終わったら教えて―」 「分かった」  啓介がクスクス笑って。それからまた、パソコンのキーを叩く音。  はー。疲れた。  ――――……すごい勉強しちゃったな。オレ。  なんて、思ってたら、いつのまにか、ウトウト、してた。 「――――……かーわえぇ……」  そんな言葉に、はっと気が付いて、目を開けると。  啓介が、隣にしゃがんでて、オレを見下ろしていた。 「あ。……終わったの?」 「あぁ。終わった」  ゆっくり起き上がって、啓介を見ると、啓介はしゃがんだまま、面白そうにオレを見ている。 「……オレがここに倒れてからどれくらい経った?」 「15分位やな」 「そっか……すぐ寝ちゃった」 「そーやな」  クスクス笑った啓介の手が伸びてきて、頬に触れた。 「――――……オレ、今日、結構我慢したんやけど」 「え?」 「勉強してたし。キスも触るんも、我慢してた」 「……」  あ、我慢してたのか。  ……確かにあんまりされてないかも。 「――――……じゃあ」  じっと、目の前の啓介の顔を見つめて。 「……キスしてあげよっか……??」  いっつもされてばっかな気がするから。  ふと思いついて、そう言ってみたら。 「ほんまに? ええの?」  と、めちゃくちゃ嬉しそうな啓介の笑顔。  ……そんなに喜ばれると、ちょっと笑ってしまう。 「うん」  ……ちょっと可愛いぞ。  なんて思いながら、隣の啓介の方に、近寄ろうとしたら。 「リクエストがあるんやけど」  そんな言葉で、止められて、ん??と固まる。 「……リクエスト?」  なになにリクエストって。 「変なことはやだよ」 「変なことやないよ」  オレがちょっと膨らんでいると、クスクス笑いながら、啓介がオレの腕を軽く掴む。 「上、乗って?」 「――――……」  啓介が座った上、太腿に跨って、少し上から、啓介を見下ろす。 「……ちょっと、恥ずかしいんだけど」 「これでキスして?」  文句言ってるのに、嬉しそうで、もうなんか。  いいか、と思ってしまう。    ゆっくり、オレを見上げてる啓介に顔を寄せて、キスする。 「……下に啓介が居るの、ちょっとハズイ……」 「新鮮?」 「……ていうか、恥ずかしいって……」  クスクス笑いながら、啓介の手が頬にかかる。 「ええから、キスして」 「――――……」  ゆっくり、唇を重ねて少し離して。また、重ねる。  頬に掛かっていた手が、うなじに滑って、引き寄せられる。

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