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「変な告白?」

 要と一緒に、皆と合流して、色んなお店の道をのんびり歩く。  皆お腹はいっぱいみたいで、何も食べはしないけれど、おみやげ屋さんで色々見ながら、のんびり。  若菜は啓介の隣に陣取ってる。  まあ、しょうがないよなーと思いつつ。  ていうか、オレの隣にもさっきから沙希が居るし。  これもまあ、別に話してるだけだから断るようなことじゃない。 「明日試合できるといいですね?」  沙希の言葉に、オレは「ほんとそうだね」と即答。 「このメンバーとバスケしても味方同士で戦う感じだもんね。明日来る人達が試合に応じてくれたら最高なんだけどなー」  そう言うと、沙希はクスクス笑う。 「バスケ命なの、変わってないですか?」 「バスケはきっとずっと好きだよ。ただ、命ではないなー。だって、普段しないしさ」 「そっかぁ。やっぱりそうなりますか」 「なるね」 「じゃあ、先輩は、今、何に命かけてますか?」  沙希はクスクス笑いながらオレを見上げてくる。 「高校時代にバスケ頑張ってた程に夢中なのはないかも。でも、毎日学校頑張ってるし、一人暮らしもしてたから、なんか生活も頑張ってたし。バスケだけ頑張ってればよかった頃とは違うかもね」 「そっかー、先輩も大人になったんですね」  沙希はそう言って、コロコロ楽しそうに笑う。 「高校と大学は大分違うかも」 「私も来年は大学生です。……受かればですけど」 「沙希は、附属には進まないんだよね」 「はい。やりたいことがあるので、外部受験します」 「そっか。ほんと、頑張って」 「はい!」  笑顔で頷いてから、沙希はオレを見つめた。 「雅巳先輩覚えてますか、受験が終わった時、彼女が居なかったら、私と付き合ってくださいって言ったこと」 「言ってたのは覚えてるけど……」  苦笑いで沙希を見下ろして、そう言うと、沙希はにっこり笑った。 「結構本気です」 「……本気なの?」 「私、雅己先輩、大好きなんですよね」 「……どこが??」  思わず聞いてしまうと、ふふ、と沙希が笑う。 「前、カッコよくて可愛い、とか言いましたけど」 「あ、言ってたね……」 「私ね、先輩の、なんでも楽しそうなところが大好きなんですよねー」 「……オレ楽しそう?」 「はい。何してても一生懸命で。楽しそうで。先輩が居たバスケ部は、ほんと楽しかったです」 「――――なんか、ありがと」  ふ、と笑ってしまう。 「でもね、沙希」 「はい」 「オレ、好きな人、居るから」  言ったオレを沙希は、じっと見つめた。 「そうなんですか?」 「うん。居る」 「そっかぁ……うーん、でも」 「うん?」 「……来年の三月、また告白します」 「え」 「だってまだ半年以上あるし! 変わってるかもしれないでしょ? あ、私も別の人好きになってたら、しませんねっ」  明るすぎる沙希の、告白なのか良く分からない言葉に、ちょっと黙った後。あは、と笑ってしまった。 「分かった。じゃあ……もし告白されたら。オレがそん時、好きな人今のままなら、断るよ?」 「んー……残念ですが、分かりました」 「面白いね、沙希」 「でも私、先輩のことは、きっとずっと、好きですよ、どんな意味でも。だからもしその時振られたら、きっぱり諦めて、ちゃんと後輩としてずっと仲良くしてもらいます」 「――――わかった」  なんだかなーと笑いながら、でも、「なんかありがと」とお礼を言うと、ふふ、と沙希も笑う。

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