『なんでウチがこの子を引き取らなきゃ……』 『施設にでもやった方がいいんじゃ……』 『何を考えてるのか分からない顔』 『誰に食わせてもらってると思ってんだ！ 居候の分際で！なんだその目は！』 『かわいそうに……』『いつも笑ってる』 『早く出ていってくれないかしら……』 ガバッ 「！っあ……はぁー……ふぅ……」 胸に手を当ておちつけ、おちつけと唱える 時折見る怖い夢 どれもおれの過去の話だ 「だいじょうぶ、だいじょうぶ おちついて……」 ​─────── 「かなた、寝不足？目の下クマできてる」 「えっ？！……あー、昨日夜まで仕事してたから、かな」 「ちゃんと寝なよ、なんか顔色も悪いし」 「えへへ、ごめん 今日はちゃんと寝るよ」 ……幹人に心配されてしまった ちゃんと寝ないと 「……かなた、今日一緒に寝よう」 「ど、どうしたの、急に あ、おれ、今部屋散らかってる、から」 「俺の部屋で寝ればいいよ なんとなーく、ね」 ……時々、幹人の考えていることが分からない なんで急に？一昨日したばっかりなのに 「かなた、こっち」 「お、おじゃします」 なんで改まってるのと幹人に笑われる 「……今日はしないの？」 「最近したばっかりだし ……それより、最近課題に追われて疲れた かなた温かいから寝やすい」 かなたはヤりたいの？と聞く幹人はもう既に眠そうだ 「う、ううん、ただなんとなく……」 「そう、……おやすみ」 「おやすみ」 ……幹人から規則正しい寝息が聞こえる 眠っている幹人の頭を撫でる ……今は一人じゃない 幹人がいる 幹人の手を両手で掴み、握りしめる ……温かい 不器用だけど優しくて温かい幹人の手 本当は抱きしめてほしいし、チューしてほしいけれどそれはおれのわがままだ でも、これだけは許してほしい 「え？うわっ」 幹人にぎゅうっと抱きしめられる 「み、幹人？」 幹人からはすぅすぅと寝息が聞こえる 無意識、なのかな ……さっきよりももっと温かい 怖くない、これなら、眠れそう…… 「……おやすみ、かなた」