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 そんな託と再会したのは、社会人になってからだった。  当時僕は自分のサブ性を持て余していた。定期的にプレイをしていないと体に不調をきたしてしまうのがわかっていたから、行きづりの人とプレイをするために知人から教えてもらったプレイ場に通っていた。  その日も一度限りの相手とプレイをしていた。性的なものは苦手だったので、基本プレイはムチなど痛みを伴うものにしていた。  プレイを終えた後、同じタイミングで隣のプレイルームから出てきたDomが知っている顔のような気がした。  目が合った瞬間にやばいと思った。  グレアを放たれる前に目をそらし、逃げるように踵を返した。  そこで腕を掴まれた。 「内田(うちだ)君じゃん」 「沓間(くつま)、くん」  かろうじて君をつけた。元々は呼び捨てだったけど。 「奇遇だね。こんなとこで何やってんの?」  そらした目を無理矢理向けさせられた。ゾクッとしたものが体を駆け巡った。まだグレアを注がれてもいないのに。 「あ」  答えられない。よもや目をそらすこともできなかった。 「もしかして、内田君Subだったの?」  知られたらやばかったのに。僕はうつむいた。 「へえ」  託は僕を全身なめ回すように見てきた。 「昔散々なめたまねしてくれたよね」  その目が怖くて立っていられなかった。 「おすわり」  と突然コマンドを放たれた。プレイ場の中じゃないのにこんなこと。誰かに見られるかもしれないのに。  僕はもちろん逆らうことなどできなかった。  その場で膝をつきおすわりの態勢になった。  託はおすわりの態勢の僕の顎を持ち、グレアを注いだ。 「俺の犬になってもらうから。異論なんかないよね?」  強烈なグレアにあてられて、僕は何も考えられなくなった。  それから少なくとも週に1回気まぐれに呼ばれ、プレイをさせられた。  途中から呼び方は「内田君」から「鈴也(りんや)」になったけど、変わったのはそれだけだった。  託は名字で呼ばれたくないみたいで、プレイの時は託様と言えと言われる。  特に予定は決まってなくて、突然メールで呼ばれるのだ。毎日だったり、一日おきだったり、1週間後だったり。もちろん準備もできない。シャワーなど浴びさせてはもらえないので、いつ呼ばれてもいいように仕事から帰ってすぐシャワーをあびるのが日課になった。  夕食を食べている暇がないときもある。  基本的には日付が変わる前に終わるので、それから電車で帰り、家に着いたらもうくたくただ。シャワーを浴びずに寝てしまいたくなるところを無理して浴びる。  プレイによっては精液でどろどろになっていたりするので、そのまま寝るのは気持ち悪い。  休みの前日だと比較的ゆっくりできるのだが、週5の仕事で休む暇もない日がほとんどだった。

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